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“エース殺し”が飯島封じも…流経柏DF三本木「自分のせいで失点した」

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前橋育英FW飯島陸(3年)をマンツーマンでマークした流通経済大柏DF三本木達哉(3年)

[1.8 全国高校選手権決勝 流通経済大柏高0-1前橋育英高 埼玉]

 自分の股間を抜けたボールがゴールネットを揺らす。土壇場の失点シーンが脳裏に焼き付いて離れなかった。今大会初先発となった流通経済大柏高(千葉)のDF三本木達哉(3年)に与えられた任務は前橋育英高(群馬)のFW飯島陸(3年)をマンツーマンマークで封じること。後半アディショナルタイム2分、その飯島のシュートは至近距離でブロックした。しかし、こぼれ球に詰めたFW榎本樹(2年)のシュートは無情にも自分の股下を抜けていった。

「結果的に目の前で失点してしまってすごく悔しい。(飯島のシュートは)一回ブロックして、いけたと思ったけど、榎本選手がフリーでいて……。プレスをかけたけど、うまく股を通された」。大会7ゴールで得点王に輝いた敵エースにゴールは許さなかった。しかし、チームとしての結果は0-1。「最後の失点が悔しい」と唇を噛み、「自分が一番、目の前でシュートを打たれた。自分のせいで失点してしまった」と自らを責めた。

 マンツーマンマークの指示は前夜に受けた。「昨日の夜のミーティングの前に監督の部屋に呼ばれて、そういう指示を受けた」。本田裕一郎監督は「インターハイのときも相手の“エース殺し”でやってきた」と語る。日本一に輝いた夏の全国高校総体では準々決勝の長崎総合科学大附戦(2-1)でMF荒木駿太(3年)を、準決勝の前橋育英戦(1-0)ではケガの飯島に代わって先発していたFW高橋尚紀(2年)をマンツーマンで封じ込めた。

「普段の練習から1対1の守備ではだれにも負けないことを意識しているし、そこを監督が評価してくれて、こういう仕事を与えてくれた」。飯島が中盤に下がっても、サイドに開いても、どこまでも付いていった。「自分のところだけはずっと付いて、“10人対10人でサッカーをしろ”という指示だった。攻撃もやらなくていいという指示だったので、(自分たちが)攻撃しているときもずっとマークしていた」。前日に映像で飯島のプレーを研究。“スッポンマーク”で自由を奪った。チームの結果には結びつかなかったが、指示を忠実に遂行し、本田監督も「よく抑えたと思う」とねぎらった。

 川崎フロンターレU-15出身の三本木は「ユースに上がれなくて、でも高校サッカーをあきらめたくなくて。高校サッカーは千葉が強いイメージがあって、ジュニアユースの同期が2人、市立船橋に行ったので、自分は流経に入って戦いたいなと思った」と、流通経済大柏の門を叩いた。「地元が神奈川なので。大学ではもう一度地元でやりたい」と、卒業後は神奈川大に進学する。

 果たせなかった夏冬連覇の夢は後輩に託した。「今年はインターハイで優勝して、プリンスリーグからプレミアリーグにも昇格できたけど、(関川)郁万とかに助けてもらってきた」。堅守を支えたDF関川郁万(2年)ら2年生に感謝する三本木は「来年はインターハイ優勝はもちろん、選手権でも今日と同じ舞台に立って、勝って優勝してもらいたい」と、自分たちの借りを返す日本一への期待を口にした。

(写真協力『高校サッカー年鑑』)

(取材・文 西山紘平)

●【特設】高校選手権2017

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