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[新人戦]九州の宿敵対決。「使命感」持って戦う大津が東福岡に3発快勝し、3年ぶりV!

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3年ぶりとなる九州制覇を果たした大津高イレブン

[2.20 九州高校新人大会決勝 東福岡高 1-3 大津高 宮崎県総合運動公園ラグビー場]

 平成29年度第39回九州高校(U-17)サッカー大会(九州高校サッカー新人大会、宮崎)は20日に決勝戦を行い、大津高(熊本1)が東福岡高(福岡1)に3-1で勝利。3年ぶり3回目の優勝を果たした。

 互いの成長を高める存在となっている2校による「九州ライバル対決」。昨年のプレミアリーグWESTで2敗していた“公立の雄”大津が、東福岡に強烈リベンジだ。MF松原亘紀(2年)は「意識していた東福岡にリベンジできて嬉しいです」と語り、この日左足首負傷を抱えながらも強行出場して1アシストしたエースMF水野雄太(2年)は「東福岡じゃなかったら出ようか出ないか考えないんですけれども、(相手が)東福岡だから出ました。ヒガシも全国レベルだと思うので、きょう勝ったのは自信になる」とライバルからの勝利を素直に喜んでいた。

 試合は切り替えの速さ、球際の強度などレベルの高い攻防戦に。立ち上がりは東福岡が押し込んだが、そこを凌いだ大津は10分に左サイドから崩してFW奥原零偉(2年)が決定的な右足シュートを放つ。だが、東福岡は至近距離からのシュートを日本高校選抜候補GK松田亮(2年)がファインセーブして得点を許さない。

 大津がハイプレスを繰り出す中、東福岡はショートパスを繋いでサイドから仕掛ける。だが、ハイサイドに入るボールを大津の右SB西原大地(2年)と左SB大場秀斗(2年)が素早くチェック。東福岡はセットプレーの数を増やしていたが、なかなか決定打を放つことができない。

 大津は奥原とFW大竹悠聖(2年)の2トップの動きが効果を発揮。スペースを作る動きと飛び出し、仕掛けで揺さぶりをかけ続ける。そして26分、大津が先制点を奪う。松原のパスを起点とした攻撃から、左中間でボールを受けたMF樋口堅大(1年)が奥原とのワンツーにチャレンジ。そしてリターンを受けた樋口が右足で先制ゴールを突き刺した。

 先制された東福岡は28分、MF中村拓也(2年)の左FKからFW大森真吾(2年)が決定的なヘディングシュート。後半開始からはより丁寧に繋いで、ボールを保持する時間を増やす。そして、セットプレーからチャンスも作った。だが、後半開始から水野を投入した大津は、その水野が強引に縦へ持ち込んでからシュートを放つなど巻き返し、敵陣でアタックする回数を増やす。

 そして15分、大津は右中間から切れ込んだ奥原がPAわずかに外側でFKを獲得。このFKから松原が左足で壁の間へ狙うと、鮮やかな一撃がゴール左隅へ突き刺さって2-0となった。前線やMF福島隼斗主将(2年)、MF福富健人(2年)の献身的な動きなど好守で主導権を握る大津はさらに24分、自陣からのロングフィードを前線でそらす。ここから左サイドを斜めにえぐった水野がラストパス。これを奥原が1タッチでゴールへ沈めて3-0とした。

 このままでは終われない東福岡も意地を見せる。中村拓也が積極的にボールに絡んでボールを左右に振り分けると、クロス、縦パス、セットプレーと多彩な攻撃。抜群の高さを誇る大津CB吉村仁志(2年)やCB毛利友哉(2年)に跳ね返されても諦めずに攻め続ける。

 32分にはMF野寄和哉(2年)がDFをかわして決定的な右足シュート。これは大津GK水町彩人(2年)に足で阻まれたものの、34分に1点を返す。交代出場MF篠田憲政(2年)が獲得した右FKを中村拓也が右足で蹴り込むと、篠田が豪快なヘディングシュートを決めて1-3。だが、これ以上の反撃をすることはできず、大津が3年ぶりとなる頂点に立った。

 今回は敗れた東福岡だが、この悔しい敗戦は必ず今後へのエネルギーになるはず。森重潤也監督は「お互いライバルとして、良い成長があれば素晴らしい」と期待していた。また大津の古閑健士監督も「ヒガシは今、自分たちの力を知るのにこの上ない相手だった。止める、蹴るが上手でした。ウチの選手は最初慌てていたんで、上手く凌げたのが大きかった」とコメント。14年インターハイ決勝やプレミアリーグでの対戦などで競い合ってきたライバルの存在、その対戦が、今後も九州を代表する強豪2校の力をさらに引き出しそうだ。

 中でも、九州王者に輝いた大津の今年に懸ける思いは強い。プレミアリーグからは降格したが、水野が「もっともっと練習中からバチバチやって、今年こそ全国制覇したいですね」と力を込めたように、インターハイ、選手権での全国制覇を目標に掲げている。昨年から先発のほぼ全員を占めてきた注目世代は、先輩たちのためにも目標を達成する意気込みだ。

 古閑監督は「自分たちが獲らなきゃという使命感が出ていると思う。責任と自覚というのは自然と出てくるけれども、使命感というのは自分で持たないとやれないので。(加えて)OBが色々な話をしてくれて練習への取り組む姿勢が変わってきましたね」。1月の初蹴りでは谷口彰悟や車屋紳太郎、豊川雄太、植田直通という偉大なOBたちが選手たちを激励。例年にないほど下級生時から多くの経験を積んできた今年の大津は、先輩たちのように日常から貪欲に進化を目指し、そしてライバルたち以上のチームになって目標の日本一を勝ち取る。

(取材・文 吉田太郎)

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