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“考えるSB”黒川圭介が日韓戦で昨年の悔しさ晴らす「今年こそは」

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DF黒川圭介(関西大2年)が日韓戦で昨年の悔しさを晴らす

 昨年、韓国で行われた『第14回DENSO CUP SOCCER 大学日韓(韓日)定期戦』を、DF黒川圭介(関西大2年)はベンチからずっと眺めていた。

「昨年も全日本大学選抜に選んでもらったんですが、海外キャンプで怪我をしてしまって……。幸い、2、3日練習を離脱しただけで怪我は治りました。だけど結局、試合に出られないまま日韓戦が終わってしまった」

 黒川は、そんな前回大会への思いを率直に「悔しい。今年こそは試合に出て、チームの勝利に貢献したい」と吐露した。

 昨年、1年生でこの大会のメンバーに選ばれたのは黒川とFW旗手怜央(順天堂大)、MF三笘薫(筑波大)の3人だけだった。旗手と三笘はそのままユニバーシアード代表に選出され、台北大会で優勝。世界一を経験した。黒川だけが“置いてきぼり”になった形になるが、「大会が終わってからも、(関西)リーグ戦でのパフォーマンスがよくなかったのは自分でも感じていた」という。

「もしリーグ戦でいいパフォーマンスを出せていたら、(ユニバーシアード代表の)メンバーに残るチャンスはあったかもしれない。今思うと日韓戦前の怪我が、不調のきっかけになったのかな、という思いはあります」

 大阪桐蔭高から関西大に進み、入学早々に左SBとしてレギュラーを獲得した。もともと「1年からレギュラーを獲るつもりでいた」が、「関西大は左SBが手薄。もっと自分が絶対的な存在にならないといけない」と、さらなる向上を目指す。特に昨年、不調の時期を経験したことで、周囲との関わりあいを考えるようになったという。

「それまでは自分のパフォーマンスを中心に考えていたから、少しずつ周りと合わない部分が出てきた。最近は周りとの連携を強く意識するようになりました。自分が上がるタイミングだけではなく、逆サイドが攻撃を仕掛けたいと感じたら、自分がちょっと引いたり。もっと周りを活かして、自分も活かすようなプレーを考えないと」

 1月に行われたU-21代表とのトレーニングマッチや、2月に行われた『デンソーカップチャレンジサッカー 熊本大会』(以外デンチャレ)では、その成果が顕著だった。もともと攻撃の起点としてのオーバーラップ、ドリブルの突破力には定評があったが、そこに“周りを活かす”守備が大きな武器として加わった。

「デンチャレ後に関西大に戻ってきて、味方をうまく使いながら自分が前に出るとか、味方がやりやすいように自分が動く、といったプレーが増えていることに気づいた。その中でいかに自分の特徴を出すか。周りを活かすプレーと自分の特徴、その両面を出せるようになったのは収穫だと思う」

 まだ2年生。旗手らとともに、来年のユニバーシアード・ナポリ大会での活躍が期待される。それだけに、昨年の日韓戦での悔しさを今大会で払拭し、全日本大学選抜でも左SBとして絶対的な存在になりたいところ。今大会には3年生も参加するため、前ユニバーシアード代表の左SB、DF小池裕太(流通経済大)とのポジション争いが予想されるが「小池選手のいいところを盗みたい」と、この状況を前向きにとらえている。そのうえで「小池選手や韓国の選手、自分より速さも強さも上の相手に対して、自分がどう対応するか」。“考えるSB”、黒川の進化はまだまだ続く。

 黒川が全日本大学選抜の一員として参加する第15回大学日韓定期戦は、今週末、3月18日に柏の葉陸上競技場で行われる。キックオフは12時30分。未来のJリーガー、日本代表選手を見逃すな!入場料は一般は当日1500円。前売りは1200円。高校生以下は入場無料となっている。

(取材・文 飯嶋玲子)

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