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「何をやってるんだ…」から切り替えた町田FW杉森考起、待望の移籍後初ゴール

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移籍後初ゴールを奪ったFC町田ゼルビアFW杉森考起(左)

[4.22 J2第10節 町田1-2山口 町田]

 右足から蹴り出されたボールがゴールマウスへと吸い込まれる。ネットが揺れるのを確認したFC町田ゼルビアのFW杉森考起は、移籍後初ゴールに歓喜を爆発させた。

 下部組織から名古屋で育った杉森は、16歳でプロ契約。17歳になった14年に開催されたブラジルW杯には、MF坂井大将(現新潟)とともに日本代表のサポートメンバーとして帯同した。将来を嘱望されながらも、名古屋では思ったように出場機会を得られず。J2に降格した昨季こそ出場機会を増やし、26試合でピッチに立ったものの、「1年を通してチームの力になれなかった」。クラブはJ1昇格を果たしたが、自身は納得いくシーズンを過ごせたとは言えなかった。

 そして今季から、「もっと試合に出たい気持ち、1年を通して戦いたい気持ちがあった」と町田への期限付き移籍を決断。しかし、当然ポジション争いは待ち受けており、開幕から先発の座をつかむことは叶わなかった。その後も途中出場でこそピッチに立つ機会を与えられたが、スターティングメンバーには名を連ねることができず、「悔しさがあったし、移籍をしてきたのに何をやっているんだろうという気持ちもあった」と当時の心境を吐露する。

 だが、負傷者などのチーム事情もあり、第9節千葉戦で移籍後初スタメンを飾ると、続く第10節山口戦でも先発として試合を迎えた。「すごく試合に出たい気持ちだったし、チャンスをもらえたら結果を出そうと思っていた」。その言葉を体現するように、試合開始直後から切れ味鋭いドリブルで好機を創出。そして、1点のリードを許して迎えた後半4分に待望の瞬間が訪れる。

 FW中島裕希の縦パスからPA内に侵入したMFロメロ・フランクの折り返しは相手選手に当たるが、こぼれてきたボールに反応。「こぼれてくるだろうと思っていて走っていた」と右足でとらえたボールはネットを揺らし、移籍後初ゴールを記録した。「町田のサッカーに慣れてきたというのもあるし、町田でできることをやろうことをやろうという気持ちに代わった」ことで生まれたゴールに「やっと決められた」と安堵の表情を浮かべる。

 しかし、この得点が勝利に結び付くことはなかった。後半25分に決勝点を献上したチームは1-2で敗れ、2連敗を喫してしまう。「勝ちにつながらなかったのが残念」と唇を噛んだ21歳は、「もっと持ち味を出して結果につなげていかないといけない」とさらなる成長を誓う。

(取材・文 折戸岳彦)
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