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[MOM2481]清水ユースFW山崎稜介(2年)_デビュー戦でハットトリック!! 苦しむ王国を救ったゴールゲッター

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3得点を決めた清水ユースFW山崎稜介(2年)

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[4.22 高円宮杯プレミアリーグEAST第3節 柏U-18 2-3 清水ユース 柏人工芝]

 ベンチスタートからのハットトリック。まさに鮮烈なプレミアデビュー戦だった。柏U-18とのプレミアEAST第3節、前半途中に投入された清水エスパルスユースFW山崎稜介(2年)は、チームの全3得点を自らの両足で記録。中学時代には、全国得点王にも輝いた生粋のストライカーが、スタートダッシュに苦しむ名門を見事に救ってみせた。

「最近は点を取れていなくて、試合にも絡めていなかったので……。プレミアに出るのもこれが初めてです」(山崎)。そんな背番号19に出番が訪れたのは前半33分。平岡宏章監督の求める働きができなかったFW川本梨誉(2年)に代わり、1点ビハインドの状況から起用された。「ここ2~3日、練習で調子が良かったので、どこかのタイミングで使おうと思っていた」(平岡監督)。

 ここで出てきたからには役割はひとつ、得点を残すことだけだ。「ゴールハンターなので、うまい選手というわけではない。常にゴールを目指している典型的なストライカー。それはうちにとって大事な能力。細かくつなぐのがうまい選手は他にもいるが、彼には“感覚”がありますね」(平岡監督)。出された指示はいたってシンプル。「前向きなプレーをしろ」というものだった。

 ピッチに立ってわずか1分後、さっそくそんな個性が輝いた。左サイドからのクロスを胸で収めると、一度は相手にボールを奪われたが、クリアに反応してダイレクトシュート。枠を捉えることはできなかったが、前向きな形でファーストプレーを完遂。すると指揮官から「シュートが少ない」と注文があったハーフタイム明け、いよいよゴールラッシュが始まった。

 まずは1点ビハインドで迎えた後半15分、中盤での速攻からDF栗田詩音(3年)のスルーパスに反応すると、素早く最終ライン裏に抜け出す。GK小久保玲央ブライアン(3年)との1対1を制し、冷静にゴールを陥れた。さらに同18分、敵陣でのボールを奪った味方のパスを受け、相手DFを抜き切らぬ間に左足シュート。華麗にゴール右隅を射抜き、わずか4分間足らずで逆転に導いた。

 1点目を振り返れば「落ち着いて流し込むだけだった」と話し、2点目にいたっては「打ってみたら入ったので良かった」と率直な言葉。まさに“感覚”でつかんだ2ゴールで、指揮官の期待がぴったりと的中した。ところが、この日の17歳の活躍はこれだけにとどまらなかった。

 2-2で迎えた後半43分、相手の連係ミスに乗じて裏に抜けたFW齊藤聖七(3年)がPA内右を走ると、鋭い動き出しでゴール前へ。「マイナスで受けようと思ったけど、相手にコースを消されたので、動き直して……」(山崎)。折り返しはGKの股を抜く絶妙なコースだったが、見事なポジショニングで決め切り、開幕2連敗脱出のシナリオを一人で演出した。

「FWなので、点が取れてうれしい」。試合後、想像以上のデビュー戦を率直に振り返った山崎だったが、浮かれた様子は見せなかった。清水エスパルスジュニアユース3年時には全国3冠に輝き、冬の高円宮杯U-15大会で得点王を獲得するなど、“黄金世代”を牽引していた有望株。しかし、ユース昇格後はなかなか出番が得られず、そうした昨季1年間の下積み経験が油断の怖さを教えてくれた。

 目標に掲げるのは、かつて同じエンブレムを胸に戦っていたFW岡崎慎司(レスター・シティ)。「泥臭くゴールを狙うところ」というだけでなく、与えられたワンチャンスを生かせる気持ちの強さにも、偉大な先輩との共通点がありそうだ。「自分一人じゃ何もできないし、今日の勝利をこれからにつなげていけるように頑張りたい」。“感覚”を持つ王国のゴールゲッターが、ここに大きな一歩を踏み出した。

(取材・文 竹内達也)
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