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[プレミアリーグEAST]父が活躍した“特別な”クラブと対戦。市船FW城定がプレミアデビュー

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後半、市立船橋高FW城定幹大が決定的なシュートを放つ

[4.22 高円宮杯プレミアリーグEAST第3節 市立船橋高 2-2 浦和ユース グラスポ]

「一番気持ちの入る相手だったので、少し意識はしていたのがありました。これが自分の中の初戦で良かったと思います」。市立船橋高のFW城定幹大(3年)はこの日の浦和ユース戦がプレミアリーグデビュー戦。父・城定信次氏(現浦和ジュニアユースコーチ)がレギュラーとして活躍したクラブ、浦和との試合について、「(自然と)戦わないといけないと思わせてもらったという感覚ですね」と振り返った。

 自宅で父との話もして臨んだという浦和ユース戦。彼にとっては、市立船橋の朝岡隆蔵監督から「ラストチャンス」という言葉も受けての試合だったという。昨年から登録メンバーに名を連ね、今冬のフェスティバルや練習試合では好プレーを見せてFW候補に名乗りを挙げていた城定だが、ポジション争いのライバルたちに比べて球際の部分や運動量が足りず、プレミアリーグ開幕を控えとして迎えていた。

 前節の流経大柏戦はベンチ入りしたものの、出番なし。「競争させながら、選手を使いながらチーム力を上げていく」方針の朝岡監督の下、この日先発出場のチャンスを得た城定はチームに貢献しながら個性をどれだけ発揮できるかを求められた。
 
 自身の置かれている状況を認識した上で試合に臨んだ城定は、序盤から前線で良く競り合い、持ち味のボールを収める部分や、1タッチでパスを繋ぐ巧さも発揮していた。そして前半30分には右クロスから決定的なヘディングシュートを放つ。さらに後半5分にはFW西堂久俊(3年)のスルーパスで抜け出して決定的な右足シュート。前線での運動量があり、自分の特長も出して戦っていたものの、無得点まま後半22分に交代した。

 2-2で引き分けたこともあり、城定は試合後に悔しさを滲ませていた。指揮官はそのプレーを評価もしていた一方、厳しい言葉を投げかけたようだ。城定は「クリアボールを自分たちのボールに前の選手たちがしなければいけなかった。足りないところは多かったです。監督からも交代した後に『頑張るレベルが低い』と言われたので、自分がやったと思うだけじゃいけないし、評価されるようにしなければいけない。決定的なシーンもあったので、そこは決めきれるようにしていかないといけないと思います」と改善することを誓っていた。

 城定が父の母校でもある市立船橋に進学してきたのには理由がある。「(父を)意識してが、強いですね。比較されやすい場所に行こうと」。この日も視察に訪れていた関係者たちから、「城定の息子」という声が上がっていたが、注目、比較されることは覚悟の上。それを乗り越えて、努力でポジションを勝ち取り、プロや年代別日本代表へ羽ばたいた父を越えることが目標だ。

「目に見える結果を出し続けることと、足りない部分を補ってチームに必要とされる選手になることが重要だと思います。少ないチャンスでも点を取れるように。決定的なシーンに絡めるようになっていって収まりのいいFWになっていきたい。サッカーを始めた時から。父親を越えるというところはずっと目標としてやっている。名前負けしないというか、自分が父親に勝てるように、今後やっていって(父が活躍して残してきた)名前を塗り替えるようにしたい」。

 浦和とのデビュー戦は手応えとまだまだある課題を感じる試合に。市船のトップチームの一員として公式戦を経験してまた意識は上がった。自身にとって“特別な”クラブとの戦いで得たことを必ず今後の活躍に結びつける。

(取材・文 吉田太郎)
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