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[全日本U-15大会MOM]清水ジュニアユースGK福井レオナルド明(3年)_日々の姿勢変えたGKが大会MVPに

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清水エスパルスジュニアユースのGK福井レオナルド明が大会MVPに

[5.5 JFA第22回全日本U-15サッカー大会決勝 青森山田中 0-0(PK3-5)清水ジュニアユース J-GREEN堺]

「レオはいつも笑っていて、チームを和ませてくれるキャラ」とMF金子星太(3年)が評すように、清水エスパルスジュニアユースのゴールマウスを託されるGK福井レオナルド明(3年)は明るいキャラクターが売りのムードメーカーだ。

 この日も、勝利を祝う清水の恒例の勝ちロコでユニフォームを脱ぎ、上半身裸で喜びを表現していた。いわゆる“お調子者タイプ”だが、試合に入れば表情は一変。大会を通じて、安定感溢れるプレーを披露し、失点をわずか1に抑えた。

 ともに1点が奪えず我慢の展開を強いられたこの日も、自信を見せる前への飛び出しで決定機を阻止。後半20分には、2列目のスルーパスから青森山田中MF小野暉(3年)にDFの裏へ抜け出され、1対1となったが、「(動きを)予測していたので、相手がどこにいるのか分かっていた。また、普段から身体の仕組みを勉強しているので、相手の重心を見えた。こっちのコースは来ないと分かったので、狙っていた」とタイミング良く、小野との距離を詰めてシュートを防ぎ、PK戦での勝利に結びつけた。

「優勝出来てホッとした。初戦で青森山田と対戦した際に先制点を奪われ、今日もまたやられるんじゃないかと心配していた。でも、昨日の調子のまま、止めてやろうという気持ちで試合に挑めた」。そう安堵の表情を見せた守護神は、試合後の表彰式で大会のMVPを受賞。「他の選手が選ばれるだろうと思っていたので、ちょっと驚いた」というが、大会を通じた出来は、金子が「今年に入ってからキックの精度が良くなったし、判断も良くなった。準決勝はいっぱい止めてくれたので、MVPも納得」と評する程だった。

 両親ともにブラジル人で、5歳の時に来日した。清水ジュニアユースに加入してからすぐにエリートプログラムU-13に選ばれたように、潜在能力は高く評価されてきたが、寝坊で練習に遅れることも多く、能力の全てを発揮出来ていたとは言えなかった。

 そんな彼に変化が生まれたのは、今年の3月だった。G大阪ジュニアユースとの練習試合で相手の攻撃をクリアしようとしたが、キックを空振り、失点した。「ミスが無ければガンバに勝てた試合。そこから細かい所まで全てを変えようと思った。寝坊とかは無くして、当たり前のことを当たり前にしないとダメだと感じた」と練習に臨む姿勢はもちろん、私生活の見直しに着手した。今大会は、3連覇に対する意欲も彼を刺激し、安定したパフォーマンスを披露。課題だったキック精度も成長の跡を見せた。

「掛川誠コーチを中心に意識の変化をしてきた成果が出た。GKがMVPというのはなかなかないと思うので、また彼の刺激にもなると思う」と話すように、小野木玲監督も福井の成長を認めている。「これまでよりも上を目指したいと思えるようになってきた」と口にする守護神は、今後さらに成長していくはずだ。

(取材・文 森田将義)

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