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[MOM528]神奈川大DF白井達也(3年)_壁を乗り越えたDFリーダー、待望の今季初完封

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神奈川大DF白井達也(3年=市立船橋高)

[大学サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[5.19 関東大学L2部第6節 神奈川大2-0東海大 保土ヶ谷公園]

 まるで同じシーンを2度見ているかのような神奈川大DF白井達也(3年=市立船橋高)の2得点だった。白井は後半13分、MF久保田歩(4年=東北学院高)の右CKを右足で合わせて先制点を決めると、37分にも同様に、久保田の右CKを右足で振り抜く。「得点は狙い通りでしたけど、デジャブ来たな…って」と本人も驚くほど1点目と似た形で、再びゴールネットを揺らした。

 自らの得点でチームを今季初勝利に導いた白井だが、本職は最終ラインを束ねるDFリーダー。名門・市立船橋高で培った守備力は大学初年度から発揮され、1年時はリーグ戦12試合出場で新人賞を受賞し、2年時はリーグ戦全22試合に出場した。今節では今季初の無失点に貢献。関森悟監督も「白井はDF石渡旭(4年=静岡学園高)とともに経験値のあるメンバー。苦しい状況でもチームのマネジメントができる2人なので、この2人中心に今日は本当に頑張ってくれた」と称賛した。

 2部降格から3年目となる神大は今季開幕5試合で未勝利(4敗1分)。開幕戦・青山学院大戦で2-3の逆転負けを喫すると、第2節でも立正大に1-4と完敗した。第3節(1-1)、第4節(1-2)でも勝利を挙げられず、前節・中央大戦も1-2で逆転負けとなっていた。

 白井は開幕から全5試合に出場したものの、持ち前の守備力をフルに発揮できない。球際で戦い切れず、コーチ陣からも「お前がそこで戦わないと」と叱咤されたという。「勝てていないし、DFとして行けていない。ボールを奪うという長所が出せていない」と課題を突き付けられた白井は、「薄々感じていたけど、そこで気づかされた」とすぐに意識改善に取り組む。関森監督も「そんな簡単に変わるものでもないんですけど、今年の2月から見ていて一番成長している」とDFリーダーの成長に手応えを掴んでいた。

 そして今節、今季初完封での初勝利。白井は「この1週間で、守備は細かい部分を徹底した。球際で、チャレンジとカバーを厳しくして潰していこうという狙いだったので、それが前半立ち上がりから出て、こぼれ球も拾えた。そこが無失点になった要因だと思います」と試合を振り返った。

 自らの長所を「前でパスカットし、前でヘディングで触って奪うというところ。まだ変わっている段階ですけど、良くなってきている」と語る白井。大学生活も折り返しとなる3年目を迎えたが、「意識は1年のころから変わっていないです。もともとプロを目指して2年間やり続けているので」と更なる高みを目指す。「長所をさらに伸ばして、短所はアベレージまで上げて。それを長所で隠せるようにしていきたい。あと2年間…いや、あと1年間でやり遂げたいです。4年生になって、最後に成長したんじゃ遅いんで」。壁を乗り越えたDFリーダーが、待望の今季初となる完封勝利で新たな一歩を踏み出した。

(取材・文 石川祐介)
●第92回関東大学L特集

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