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東山が京都準々決勝で圧巻のゴールラッシュ。8-0で大目標の日本一へ一歩前進

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前半20分、東山高FW長坂大陸が右足ダイレクトで決めて2-0

[5.20 総体京都府予選準々決勝 東山高 8-0 洛南高 東山高総合G]

 平成30年度全国高校総体「2018彩る感動 東海総体」サッカー競技(三重)京都府予選は20日に準々決勝を行った。府新人戦優勝の東山高は洛南高に8-0で快勝。東山は26日の準決勝で京都共栄高と対戦する。

 勝った東山の選手たちも「ここまで圧倒できるとは思っていなかった」と驚く8-0快勝。洛南の4回戦が雷によって延期され、17日に組まれたことによる疲労面も少なからず影響を及ばしたようだ。それでも、東山は存分に強さを見せつけ、インパクト十分のスコアで全国まであと2勝とした。

 立ち上がりは日本代表GK東口順昭(現G大阪)の母校で京都府随一の進学校、洛南がチャンスを作る。5バックを敷いた洛南は10番MF早坂千紘(3年)がテンポよくボールをさばき、5分にはFW伊藤僚冶(3年)と早坂のクロスが立て続けにゴール前を横切る。先にあわやのシーンを作り出された東山だったが、直後にこの日非常に印象的な動きを見せていたMF倉貫直人主将(3年)のパスからFW長坂大陸(3年)が右足シュート。これは洛南GK小泉愛斗(3年)にストップされたものの、この攻撃で得たCKでゴールラッシュの口火を切る。

 8分、MF宇賀神拓世(3年)が右サイドから左足CK。ゴール前を抜けたボールをファーサイドのMF中山翔(2年)が押し込んで先制すると、20分には右サイドを抜け出した“鎌田2世”の注目タレントFW久乗聖亜(3年)の折り返しを長坂が右足で合わせる。さらに22分にはMF片岡宥人(3年)の仕掛けから久乗が加点。25分には左サイドを抜け出した久乗のクロスのこぼれを中山が押し込んで4-0とした。

 東山はスピーディーなパスワークでフリーの選手を作り出し、中盤、最終ラインで前を向いた選手が精度ある縦パス。そして、タイミングの良い動き出しからサイドへ抜け出す久乗や長坂、中山が決定機に絡んでいく。対する洛南はGK小泉がビッグセーブを連発。5バックから4バックへスイッチした洛南は何とか相手の猛攻を凌ぎ、反撃しようとしていたものの、東山は後半も攻撃の手を緩めない。

 後半3分、東山は右SB木下誠太(2年)の折り返しから久乗が豪快な右足シュートを決めて5-0。19分には交代出場したFW大八木陽一(3年)の突破から長坂が決めると、28分には久乗の左クロスをCB井上竜稀(3年)が頭で決めて7点目を奪う。そして32分には交代出場のFW中村将吾(3年)の右クロスを宇賀神が決めてゴールラッシュを締めた。

 洛南の最後まで諦めずに攻め続ける姿勢は特筆に値するもの。点差が開いても1点を奪い取るために攻め続け、クロス、シュートまで持ち込もうとしていた。だが、東山は緩めることなく守って8-0で勝利。FW鎌田大地(現フランクフルト)が1年生だった12年以来となるインターハイ出場へ一歩前進した。

 東山の福重良一監督は大量8得点を奪い取ったチームを讃える一方で「もう少し幅を使った攻撃がしたかった。もう少し最後の精度を上げられると思っている」とコメント。選手たちもシュート29本を放ちながら8得点に終わったことを反省していた。

 ただし、関西で評判のFW久乗や1年時から出場を続ける倉貫だけでなく、宇賀神、長坂、片岡らが台頭してきていることが心強い。守備もGK荒木光汰(3年)を中心に声を絶やさず、無失点で試合を終えた。個に頼るのではなく、連動性を特長とするチームの中で、複数の柱も育ってきている印象だ。この日際立った強さを示したチームは準決勝、決勝でもその強さを発揮することができるか。

 倉貫は「きょうの試合では満足してはいけないと分かっているんですけれども、上手くいったないうのが正直な感想です。次の試合でも同じような戦いができれば勝つ自信はあります。新人戦で優勝してその景色を見ることができたので、それをもう一回インターハイで見て、全国にも繋がっているので結果を残して伝統を作っていきたい」と語り、久乗は「先生たちから京都は通過点で、日本一を目指さないといけないと話をして頂いています。(目標は)日本一です。みんな予想していないことをしたいですし、最終的には先生や親に結果で恩返ししたい」と力を込めた。目標は京都一ではなく、日本一。現時点ではまだその力が無いと認識している選手たちは、貪欲に力を磨いて次の試合を迎える。

(取材・文 吉田太郎)
●【特設】高校総体2018

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