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県内6大会連続準Vの瀬戸内が「7度目の正直」!宿敵・広島皆実破り、全国へ!:広島

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優勝を喜ぶ瀬戸内高イレブン

[6.10 総体広島県予選決勝 瀬戸内高 1-1(PK5-4)広島皆実高 広島広域公園第一球技場]

 平成30年度全国高校総体「2018彩る感動 東海総体2018」サッカー競技(インターハイ、三重)への出場権を懸けた広島県予選は10日に決勝が行われ、瀬戸内高が1-1からのPK戦の末に広島皆実高を下し、2年ぶり6回目の出場を決めた。

 瀬戸内は安部裕葵(鹿島)を擁した2016年に全国総体に出場しているが、地元・広島での開催だったため、出場枠は2つだった。準決勝に勝った時点で出場権は獲得したものの、決勝で広島皆実に敗れて準優勝。これを皮切りに同年の選手権予選、2017年の新人戦、総体予選、選手権予選、2018年の新人戦と、県内タイトルで実に6大会連続の準優勝に終わっていた。

 特に今回の相手・広島皆実は、その6回のうち4回で敗れており、選手権予選でも2007年、2008年、2010年、2013年、2016年、昨年の計6回、決勝で敗れている、まさに宿敵。『7度目の正直』で壁を打ち破った選手たちを、安藤正晴監督は「皆実は大きな壁だったけれど、物おじせず、よく戦ってくれた」と称えた。

 試合は立ち上がりに瀬戸内が先制する。前半6分(40分ハーフ)、ゴール前でこぼれ球を拾ったMF加藤竜大(3年)が、相手DFのタックルを見極めて落ち着いて横につなぎ、パスを受けたFW川岸怜央(3年)が蹴り込んでネットを揺らした。安藤監督が「申し分ない形」と振り返った、鮮やかな先制パンチだった。

 その後も右サイドのMF宮本大貴(3年)の突破などでチャンスを作るものの、1点リードで迎えた後半は広島皆実のパスワークに劣勢を強いられる。それでもカウンターから追加点のチャンスを作り、後半25分と28分には、MF佐々木達也(3年)が立て続けに決定機を迎えたが、広島皆実GK藤岡佑成(2年)の好セーブに阻まれた。

 2点目こそ奪えなかったが、残り時間はわずかとなり、そのまま瀬戸内が押し切るかと思われた。だが終了間際の後半39分、広島皆実は右サイドからMF堤太一(3年)の放ったシュートが相手DFに当たったこぼれ球を、走り込んでいたMF疋田勝人(3年)が左足で合わせて流し込み、土壇場で同点とする。

 瀬戸内は昨年の総体予選決勝で広島観音高と対戦し、終盤まで1-0とリードしながら、後半の終了間際とアディショナルタイムに失点して逆転され、優勝を逃している。1年前の悪夢がよみがえるような試合展開だったが、今年はここから踏ん張った。失点から後半終了、さらに10分ハーフの延長と、追い付いて勢いづく広島皆実の攻めに劣勢の時間が長かったが、2点目は与えなかった。

 先攻で臨んだPK戦も、1人目と3人目が止められてリードを許す苦しい展開。だが相手の4人目をGK井上大也(2年)が止めてタイに戻すと、その後は3人続けて成功し、広島皆実にプレッシャーをかける。最後は相手の7人目をGK井上が再びセーブし、ついに広島皆実の牙城を打ち破った。

 瀬戸内は今年度、プリンスリーグ中国で開幕から調子が上がらず、1勝1分け3敗で10チーム中9位と低迷したまま総体予選を迎えた。しかし、安藤監督が「そんなに力はなく、発展途上のチーム。でもみんなが一丸となって戦えるようになり始めたのが、この時期に重なったのではないか」と振り返った通り、予選が始まると徐々に調子を上げ、最後は「OBも含め、魂が乗り移ってくれたのではないか」(安藤監督)というPK戦を制した。

 2年前は地元で8強入りを果たしている。安藤監督は「これから暑さが本番を迎えるので、走力と、その中での精度について、もっと上を目指してやらせたい」と語り、全国でのさらなる躍進を誓った。

(取材・文 石倉利英) 
●【特設】高校総体2018

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