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充実の3-0勝利。選手権4強メンバー中心に選手層厚い矢板中央が、栃木ライバル対決制して全国へ

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矢板中央高がインターハイで全国制覇に挑戦

[6.21 総体栃木県予選決勝 矢板中央高 3-0 佐野日大高 さくらスタジアム]

 矢板中央が充実の3-0勝利! 21日、平成30年度全国高校総体「2018彩る感動 東海総体」サッカー競技(インターハイ、三重)栃木県予選決勝が行われ、昨年度選手権4強の矢板中央高と16年度選手権4強の佐野日大高が激突。矢板中央が3-0で勝ち、2年ぶり8回目の全国大会出場を決めた。

 今年、昇格したプリンスリーグ関東で開幕5連勝を飾っている矢板中央が強さを見せつけた。注目CB白井陽貴主将(3年)や実力派の右SB後藤裕二(3年)、10番MF飯島翼(3年)ら選手権4強メンバーを多数残す矢板中央は前半12分、左SB内田航太郎(3年)が右サイド後方から左足でFK。これを「空中戦は絶対に負けないように。この形は練習でずっとやっていたんですよ」という190cmFW望月謙(3年)がファーサイドから頭で逆サイドへ折り返すと、走り込んだMF伊藤恵亮(3年)が豪快な右足シュートをゴールネットに突き刺した。

 伊藤の3試合連続先制弾でリードを奪った矢板中央は、前線へシンプルにロングボールを入れてそこからバリエーションのある攻撃を繰り出す。対して5バックを敷いて戦う佐野日大は相手のフィード、クロスの出し手にプレッシング。攻撃の精度を狂わせようとしていが、不用意なファウルが続いてピンチを招き、リードを奪われてしまった。

 それでも、佐野日大は長身DF大塚健斗(3年)を中心に、その後は相手の攻撃をゴール前で跳ね返して2点目を許さない。矢板中央はセカンドボールをMF土谷大晟(3年)やMF池田隼人(3年)らが拾い、MF木村泰晟(3年)、伊藤の両翼がチャンスに絡む。そして望月のスルーパスに走り込んだ後藤が右足を振り抜き、後藤の右クロスに望月が頭から飛び込むシーンなどがあったが、ゴール前で良く体を張っていた佐野日大から2点目を奪えなかった。

 佐野日大は後半開始からFW長谷川航(3年)を投入。180cmFW山田大樹(3年)の高さに推進力を加える。そして開始直後に3連続シュート。勢いを持って後半に入ったが、このシーンを落ち着いて凌いだ矢板中央が8分に追加点を奪う。左サイド後方から土谷が前線にアーリークロスを入れると、交代出場のFW大塚尋斗(3年)が長身を活かしてボールを収めようとする。このこぼれ球を飯島が落とし、前を向いた大塚の左足シュートがゴール右隅に決まり、2-0となった。

 高橋健二監督が「高い位置に入った時の攻撃が多彩になってきた」と頷く攻撃の形が出て突き放した矢板中央に対し、佐野日大は後半に存在感を増したMF廣瀬龍也主将(3年)がチャンスメーク。サイドへの正確な展開やPAでDFをかわす動きで反撃の中心になっていた。

 後半25分には大塚を前線に上げて4-3-3システムへシフト。攻撃にパワーをかけると、33分にはゴール前のこぼれ球から山田が決定機を迎える。だが、これを矢板中央CB五十嵐磨於(3年)がシュートブロックして雄叫び。隙ができかけた時間帯もあった矢板中央だが、「アイツはヤバイです。誰にも負けたくない、と。槙野選手みたいなプレーをしたいと言っている」(白井)という“気合系”のCB五十嵐と高さで相手を圧倒していたCB白井、そして安定感光るGK安西駿(3年)を中心とした守りは崩れない。

 逆に交代出場のMF板橋幸大(3年)のスピードを活かしたカウンターや飯島の個人技から3点目を狙う矢板中央は35分、右サイドでボールを持った後藤が飯島へ斜めのパス。飯島が足裏で出したリターンで抜け出した後藤が、そのまま右足シュートをゴール左隅に流し込んだ。

「栃木ライバル対決」を3-0で制した矢板中央が全国出場を決めた。その矢板中央は今年、プリンスリーグ関東で横浜FMユースや大宮ユースを撃破するなど開幕5連勝で首位。「県リーグだと自分たちはボール持つことが多い。プリンスリーグでは自分たちの守備から攻撃に行く部分が結構鍛えられた」と白井は説明していたが、強豪相手に自分たちの戦う術を磨き、結果を残したことは自信になっている。

 CB長江皓亮、FW久永武蔵という2年生の主力組が負傷離脱する中でも五十嵐らが台頭。そして怪我で出遅れていた望月も復帰して選手層は厚さを増している。結果が出ても選手たちに謙虚でいることを求め続ける高橋監督は全国へ向けて「セットプレーを強化したい」とコメント。そして、望月は「今年は全国の優勝を狙っていて、まずはスタートラインに立った。ここから全国優勝目指してみんなで頑張っていきたい」。攻守に選手権4強メンバーを残し、台頭中の新戦力も結果を残している矢板中央が今夏、初の日本一に挑戦する。

(取材・文 吉田太郎)
●【特設】高校総体2018

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