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[戦評]千葉の意地が勝ち点1をつかませた(浦和-千葉)

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[5・3 J1第9節 浦和1-1千葉 埼玉スタジアム]

 千葉の大黒柱だった阿部勇樹(25)が浦和移籍後、初めて古巣と戦うということで注目を集めた一戦。

 首位G大阪を勝ち点2差で追う昨年の王者・浦和と阿部移籍が影響してか14位に沈む千葉との試合は、両チームともに運動量が多く、試合開始から互いに決定機をつくり出す攻撃的な試合展開となった。
 その中で優勢に試合を展開していたのはホームの浦和だ。FWワシントン(32)の力強い突破やMFポンテ(30)の個人技に加え、DF坪井慶介(27)やDF田中マルクス闘莉王(26)がオーバーラップで、次々とゴールへと襲い掛かる。そして27分、中央のFW永井雄一郎(28)からのパスを左コーナー付近で受けたMF鈴木啓太(25)が千葉MF水野晃樹(21)の股間を抜く技ありのドリブル。そのまま出したラストパスにワシントンが左足で合わせ、先制する。さらに後半開始直後には千葉のDF斎藤大輔(29)が2枚目の警告を受けて退場。ただ浦和へと傾き出すかと思われた流れを千葉は離さなかった。後半4分、ゴール前での右スローインをFW巻誠一郎(26)が競ってこぼれたボールをDF水本裕貴(21)が「気合で打った」と右足で同点弾。追いつかれた浦和はあわてずに攻め続けたが、阿部の放った後半17分、後半ロスタイムの決定的なシュートがいずれも千葉GK立石智紀(33)の正面を突くなど、後半だけで12本あったシュートを生かせず、痛い引き分けに終わった。

 阿部が「勝つことが重要。とにかく勝ちたかった」と振り返った古巣との一戦。右サイドで果敢な突破を何度も試みた水野が「ジェフはジェフ。阿部さんがいなくなったから弱くなったとは言われたくない。実際今日はいいプレーができた」という千葉の意地がひとり少ない不利を試合終了まで耐えさせ、千葉にとって大きな勝ち点1をつかませた。

(取材・文 吉田太郎) 

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