beacon

「史上最弱の世代」と呼ばれた清水ユース、16年ぶり2度目のクラブユース選手権制覇!!

このエントリーをはてなブックマークに追加

16年ぶり2度目の優勝を果たした清水エスパルスユース

[8.1 日本クラブユース選手権U-18大会決勝 大宮ユース0-2清水ユース 味フィ西]

 第42回日本クラブユース選手権(U-18)大会は8月1日、味の素フィールド西が丘で決勝戦を行い、清水エスパルスユースと大宮アルディージャユースが対戦した。序盤から優位を保った清水ユースが2-0で勝利し、2002年大会以来となる16年ぶり2度目の優勝を果たした。

 32チーム制で行われた夏のクラブユース選手権。ロシアW杯と同規模の大会をわずか1/3の過密スケジュールで行う中、頂点に立ったのは「史上最弱の世代」とも呼ばれた清水ユースだった。平岡宏章監督は「選手たちの頑張りで優勝できた。11日間で7試合という苦しい中で死力を尽くして頑張ってくれた」と称えた。

 互いに最前線が縦関係に並ぶ4-4-1-1のシステムで構える中、主導権を握ったのは清水ユースだった。平岡監督が「準決勝は大宮さんが延長まで行っていたので有利だと思っていた」と話したように、コンディション面での優位がそのまま形勢に表れ、FW齊藤聖七(3年)、FW川本梨誉(2年)の2トップが敵陣深くに攻め入った。

 すると前半12分、さっそく試合が動く。最終ラインでボールを持ったDF監物拓歩(3年)が左足でフィードを送り、川本が左サイドで持ち上がって前方に縦パスを配給。MF青島太一(2年)が鋭いドリブルで攻め込むと、大宮ユース守備陣の間隙を突いてカットインし、右足シュートでニアサイドを打ち抜いた。

「自分は中学3年で優勝したけど、今回は2年生として3年生を支える立場。しかけて1人目を振り切った時、倒されなかったのが大きかった」(青島太)。清水ジュニアユース時代の2年前に“中学3冠”に導いたアタッカーが、3冠目と同じ西が丘のピッチで大きな結果を出した。

 1点ビハインドとなった大宮も徐々にペースを取り戻す。失点に絡んだDF森侑里(3年)がセットプレーのゴール前で存在感を示し、DF白根和紀(3年)にも惜しいシーン。クーリング・ブレイクが明けた前半34分にはDF田中颯太(2年)のボール奪取からMF高柳郁弥(3年)が突破を見せ、相手DFがカバーしたこぼれ球にMF瀬良俊太(2年)が詰めた。

 一方の清水はしっかりと守備ブロックを敷き、両サイドバックのMF望月勇伸(3年)、MF佐塚洋介(3年)がサイドを封殺。MF佐野陸人(3年)、MF五十嵐海斗(2年)の2人を起点にカウンターを狙った。大宮は前半39分、FW吉永昇偉(3年)のポストプレーからMF渡辺俊介(3年)がシュートを放ったが枠を外れた。

 このまま前半が終わるかと思われたアディショナルタイム2分、清水が大きな追加点を奪う。中央に絞ってボールを受けた青島太が前を向き、左に引いてきた齊藤にパス。そのままゴール前に駆け上がり、中央に切れ込みながらFW山崎稜介(2年)に送ると、ワンツー気味に戻ってきたボールにダイレクトで合わせた。

 今季はチームの主将と10番を担い、指揮官も「得点の7割に関わっている」と信頼を寄せるリーダーの待ちに待った殊勲弾。「準決勝では自分のプレーができず、チームに迷惑をかけてしまっていたので、決勝で点を取れて良かった」(齊藤)。選手たちは齊藤のもとへと一気に集まり、祝福ムードのままに前半を終えた。

 前半は一方的に押される形となった大宮は「後半は相手を上回るハードワークをしよう」(丹野友輔監督)と選手たちを送り出した。戦術的な修正点は「前からのプレッシャーを外せなかったので、深い位置からパスコースを探す」ということ。この狙いが奏功し、中央に絞った右サイドバックDF梅本琉生(3年)が起点になる場面が増えてきた。

 大宮は後半2分、高柳のパスに反応したFW高田颯也(3年)がPA左に持ち上がり、相手DFを振り切りながら左足シュート。これはGK梅田透吾(3年)にブロックされ、こぼれ球に詰めた高柳のシュートは惜しくも枠外へ。同11分、MF安島樹(3年)が競ったゴール前の混戦から吉永が狙ったが、川本にライン上でブロックされた。

 大宮は後半15分、MF五百蔵悠(3年)、MF林勇太朗(2年)、FW新井成志郎(2年)の3人を一気に投入し、さらに攻勢を強める。対する清水は同16分、中央でボールを奪った佐野の縦パスに齊藤が抜け出したが、エリア外に飛び出したGK村田耀(3年)がファインクリア。主導権は依然として大宮が握り続けた。

 清水は後半23分、右サイドハーフで先発した山崎に代わってMF青島健大(1年)を投入。大宮は同29分、安島のインターセプトから五百蔵がボールをおさめ、新井がつないだボールを林が狙ったが枠を外れた。同30分には高柳が華麗なターンから縦に送り、五百蔵が狙ったが相手DFにブロックされた。

 清水は後半34分、川本に代わってFWノリエガ・エリック(2年)を投入。大宮はロングボールを中心に攻勢に出るも、ノリエガのポストプレーやボールキープに勢いを削がれる展開が続く。清水はさらにDF西島隆斗(2年)がMF丸山優太朗(2年)を投入し、守りを固めながら時間を使った。

 後半アディショナルタイム4分には、梅田に代わって「試合に出られなくてもチームを盛り上げてくれた」(平岡監督)というGK天野友心(3年)がピッチへ。昨季の梅田不在時にゴールを守り、プレミアリーグで優勝を逃した悔しさを知る守護神が最後のホイッスルをピッチ上で迎え、「史上最弱から最強になろう」(平岡監督)と闘った清水ユースが夏の王者に輝いた。

(取材・文 竹内達也)
●第42回日本クラブユースサッカー選手権(U-18)大会特集ページ

TOP