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4日間で“100km”走の準備活きた!山梨学院が8分間の後半AT再び乗り越えて準決勝へ

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8分間の後半アディショナルタイムを守り抜いた山梨学院高が決勝進出。(写真協力=高校サッカー年鑑)

[8.11 総体準々決勝 山梨学院高 3-2 日章学園高 鈴鹿]

 気温35.5度。3分間のクーリングブレイクに加え、飲水タイムも実施された後半のアディショナルタイムは「8分」が提示された。

 1点リードで相手の反撃を跳ね返していた山梨学院高CB西澤俊(3年)はこの瞬間、「(アディショナルタイムが長すぎて)ちょっと、意味分かんないなと(思った)」と苦笑する。普段の公式戦の後半アディショナルタイムはほとんどが3、4分ほど。だが、今回のインターハイはV候補・市立船橋高(千葉)を1-0で撃破した2回戦でも8分間の後半アディショナルタイムが掲示され、我慢を強いられた。

 ただし、山梨学院はその8分間を再び守り抜く。日章学園はパワープレーを展開してきたが、CB大石悠介(3年)や西澤、GK市川隼(3年)を中心に跳ね返して3-2で勝利。応援席からの声も支えに、苦しい展開を全員で乗り越えた山梨学院は、初のインターハイベスト8に続き、初のベスト4進出も成し遂げた。

 西澤は「先行されて一瞬どうなるかと思ったんですけれども、この大会通して一体感が上がっていると思う。仲間を信じて勝てたので良かった」と喜び、声で選手の背中を後押しした安部一雄監督は「こういう大会は勝つことで自信になる」と勝ちにこだわって掴んだ白星に目を細めていた。

 大会前に徹底的に走り込んできた成果が発揮された。開幕の約2週間前に山梨学院は4日間で約100kmにも及ぶ距離を走り、インターハイに備えてきたのだという。朝練習で約5kmを走り、授業や野球部の選手権予選応援を挟んで午後に約15km走。走行距離が特別長かった日もあったようだ。そして、走りのメニュー後にトレーニング。この日2得点のFW宮崎純真(3年)が「ギリギリの試合でものにしていることに繋がっている」と走りの効果を口にしていたが、足が動かないような状況で行ったトレーニング、身につけた体力はチームの支えになっている。

 西澤は連日30度超えの開催地・三重の暑さについても、「全然山梨の方がヤバいです。(山梨は)風もないので。他のチームよりは(アドバンテージがある)」と説明する。組織的な攻守で相手との差を作り出す山梨学院だが、市立船橋戦や日章学園戦の「8分」で最後踏ん張ることができたのは、こだわって準備してきた走りの成果や環境、勝利への執念によるものも大きいようだ。

 山梨学院は09年度の選手権で初出場初優勝を果たしているが、インターハイでのタイトル獲得はまだない。西澤は初の決勝進出を懸けた準決勝へ向けて「実感ないですけれども歴史を変えられている自信はみんな持っていると思う。準決勝来て、目先に決勝がありますし、ここでどれだけ踏ん張るかでメダルの色は変わってくるんで勝負にこだわって頑張りたいです」と誓った。やってきたトレーニングと強豪相手に逆境を跳ね返しながら掴んできた勝利は自信に。好守と決定力、体力を武器に勝ち上がってきた山梨学院が初のインターハイ制覇に挑戦する。

(取材・文 吉田太郎)
●【特設】高校総体2018

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