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好感触の練習試合。U-16代表が「油断・慢心したら、すぐに墜落する」“本番”アジア予選へ

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U-16日本代表のエースFW西川潤は鹿島ユース戦で2得点の活躍

[9.13 練習試合 U-16日本代表 1-0水戸ユース、U-16日本代表 6-0 鹿島ユース]

 9月20日に開幕するAFC U-16選手権マレーシア2018を前に茨城県内で合宿を張っていたU-16日本代表は出発前日に当たる13日、ひたちなか運動公園にて練習試合を2本実施。水戸ホーリーホックユースに1-0、鹿島アントラーズユースに6-0と快勝し、大会に向けて好印象を残し、日本を旅立つこととなった。

 第1試合となった水戸ユース戦は、GKに野澤大志ブランドン(FC東京U-18)、DFが右から田島詳基(清水ユース)、山田奈央(浦和ユース)、佐古真礼(東京Vユース)、石田侑資(市立船橋高)、中盤の中央に植田啓太(横浜FMユース)と三戸舜介(JFAアカデミー福島U18)、右に中野桂太、左に中野瑠馬(共に京都U-18)、FWに青木友佑(FC東京U-18)と唐山翔自(G大阪ユース)が並んだ。

 試合はよくも悪くも一進一退で推移。どちらもシュートチャンスをなかなか作れないまま進む中で、30分前後に互いにGKと1対1になるビッグチャンスを得たが、中野桂のシュートは相手GKに防がれ、水戸のシュートはGK野澤がセーブ。どちらも得点を奪えぬまま、前半を折り返した。

 後半に入ると、8分に左サイドのクロスを「最近自信が付いてきた」と言うヘディングで中野桂が競り勝ち、これを唐山が繋いで、最後は青木が流し込む形で均衡を破った。以降はトレーニングパートナーのDF田中隼人(柏U-15)や水戸の選手も起用される中でなかなか攻撃が形にならない。中野桂の意表をつくロングループなども決まらず、1-0で試合終了となった。

 続いて行われた鹿島ユースとの試合はメンバーを総入れ替え。GKに山田大樹(鹿島ユース)、DFに角昂志郎(FC東京U-18)、鈴木海音(磐田U-18)、半田陸(山形ユース)、中野伸哉(鳥栖U-15)、中盤中央に横川旦陽(湘南U-18)、山内翔(神戸U-18)、右に成岡輝瑠(清水ユース)、左に近藤蔵波(C大阪U-18)、前線に荒木遼太郎(東福岡高)と西川潤(桐光学園高)というラインナップだった。

「1試合目の内容を受けて『立ち上がりから行くんだ!』ということを強く言われた」(半田)上でのキックオフ。球際の攻防から激しく戦う姿勢を打ち出して主導権を握ると、徐々に鹿島を押し込む流れとなる。前線でコンビを組むのは初めてだったという荒木と西川の動き出しも徐々に噛み合い、25分に荒木がミドルシュートで鹿島GKを脅かすなどチャンス作り始めると、直後の26分にはゴール前で直接FKのチャンスを得た。

 キッカーの位置に立ったのは左の西川と右の荒木だったが、蹴ったのは荒木。「濡れていたのでワンバウンドさせようと狙った」というシュートは狙いどおりの軌道を描き、先制ゴールとなった。これで完全に勢いを得た日本は、その4分後に右サイドを破った角のクロスからファーサイドで西川が頭で合わせて追加点を奪うと、その直後に山内とのパス交換で右から崩した荒木のクロスを近藤がヘッドで突き刺し、3-0。怒濤の攻撃で大量リードを奪い取った。

 後半に入っても試合の流れは完全に日本。7分に西川のCKから横川が決めて4-0と点差を広げると、荒木のスルーパスから西川が決めて、5-0。最後は山内のシュートを相手GKが防いだリバウンドボールに近藤が詰めて、6-0。後半途中からは3バックの新システムもテストするなど大会に向けた予行演習もこなしつつ、完勝を飾った。

 森山監督は「これまでなかなかベストメンバーを集められていなかったし、初めての組み合わせもある中で思った以上にやれた」と2試合目の内容を前向きに評価。テンポの良い崩しが観られた攻撃面については「選手たちの間でも『こいつなら、こう』という感覚的な部分が繋がってきたと思う」と言う。今年初めの就任当初は「止まって受ける選手が多すぎる」と嘆いていた指揮官だが、「出して動いてという部分が噛み合うようになってきた」と手ごたえを語った。

 もっとも、百戦錬磨の指揮官は「油断・慢心したら、すぐに墜落する」と勝って兜の緒を締めることを忘れるつもりはない。選手たちも「(予選突破に向けた)プレッシャーは大きいけれど、そういう舞台で戦える楽しみもある」(半田)と気合いは十分。来年のU-17W杯出場権を懸けて行われるAFC U-16選手権は、20日のタイ戦から幕を開ける。

(取材・文 川端暁彦)
●【特設】AFC U-16選手権マレーシア2018
※日本戦全試合はCS放送のテレ朝チャンネル2で生中継!

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