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初戦前日に指揮官の“雷”。“02ジャパン”は「一人ひとりの役割」再確認してアジアの戦いへ

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20日にタイとの初戦を戦うU-16日本代表。森山佳郎監督の檄で個々が意識を変えて大会に臨む

 20日にマレーシアで開幕するAFC U-16選手権の初戦に向けて、19日にU-16日本代表がクアラルンプール市内でトレーニングを行った。その練習は、ウォーミングアップを前に森山佳郎監督が選手を集めていきなり雷を落とすという異例の始まり方だった。

「ピッチ外のところでやるべきことをやっていなかったからです。ピッチの中と外は繋がっている。そこをできていなかったので言いました」(森山監督)

 長丁場の戦いとなるだけに、「ピリピリし過ぎているのは良くない」(同監督)ことはよく分かっている。ただ、それが「緊張感のなさ」になってしまっているようでは戦う集団とは言えない。「一人ひとりに役割があるんだぞ」などと厳しい口調で選手を諭し、初戦を前に雰囲気を引き締めた形となった。

 選手も「オフ・ザ・ピッチのところを人任せにしたり、そういう雰囲気になってしまっていた」(DF角昂志郎=FC東京U-18)と猛省。あらためて次の試合に先発しそうな選手も、そうでない選手も一丸となり、しっかりトレーニングの準備をし、練習が始まれば厳しく取り組んでいく姿勢を確認し合うこととなった。

 その初戦の相手はタイ。「東南アジアのチームは近年急速に力を付けてきているし、タイはすでにトップリーグで試合に出ている選手もいる」と指揮官も警戒を強める難敵だ。

 また、東南アジア特有の湿気については「最初はキツかったけれど、だんだん慣れてきている」(角)とはいえ、芝生については「やっぱり日本の芝とは違って難しい」(MF横川旦陽=湘南ベルマーレU-18)。日本のように綺麗に生えそろっておらず、独特のバウンドもある。「日本の場合、ほとんどの選手が普段から人工芝でプレーしていて、そこに慣れているゆえの苦しさがある」(森山監督)。その中で後方でのボール回しでミスが出てカウンターを受ける展開は厳に避けたいところ。このため、「相手がどう来ているのかという部分や時間帯なども考えながら、割り切ることも必要になってくる」(森山監督)。

 とはいえ、どれほど難しい試合になろうとも、ここで止まる気は毛頭ない。「去年のU-17W杯で優勝したイングランドの映像を観させてもらって、この舞台を自分も絶対に経験したいと改めて思えた」と横川は言う。また角も「W杯に行けたら計り知れないくらいの経験を積めると思う」とした上で、「ここに選ばれなくて悔しい思いをした選手たちが僕の身近にもたくさんいるので、そういう選手たちのためにも絶対アジアチャンピオンになって、U-17W杯に行きたい」と意欲満面に言い切った。

 注目の初戦は日本時間の20日21時45分から。「二戦目からの戦略が変わってくるくらいに大事になる初戦になる」と指揮官も意気込むが、同時に「まあでも、僕らのグループはいつも初戦で勝っているので、緊張することもない。思い切って送り出す」と涼しい顔で言い切った。

 日韓W杯の行われた2002年以降に生まれた選手たちで構成されるU-16日本代表“02ジャパン”。その世界への挑戦が、いよいよ幕を開けようとしている。

(取材・文 川端暁彦)
●【特設】AFC U-16選手権マレーシア2018
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