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「もう何でもいいから決めたかった」初ゴールが優勝弾!エースFW西川潤がAFC U-16選手権MVP!

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AFC U-16選手権MVPに選出されたU-16日本代表FW西川潤

[10.7 AFC U-16選手権決勝 U-16日本代表 1-0 U-16タジキスタン代表 マレーシア]

 AFC U-16選手権決勝戦、後半18分にタジキスタンのゴールネットを揺らし、試合の均衡を打ち破ったのはエースの左足だった。FW西川潤(桐光学園高)が突き刺した先制ゴールは、試合の決勝点ともなった。

 西川はここまでノーゴール。10番を預けられた責任も感じていただけに苦しくなかったと言えばウソになるだろう。「何が悪いんだろう?」と悩みもした。だからこそ、喜びもひとしおだった。「得点シーンを振り返ってほしい」と言われても、「興奮し過ぎて忘れちゃいました」となるほどに、特別な瞬間だった。

 ゴールシーンに至ったクロスからのシュートは何度もイメージし、トレーニングを重ねてきた形である。MF中野瑠馬(京都U-18)が鋭い切り返しでクロスを送り込むタイミングと、西川がゴール前へ入っていく流れは絶妙に噛み合っていた。あと必要なのは、ここまで入らなかったフィニッシュの精度。ただ、そこもクールに判断できていた。

「雨でピッチは凄くスリッピーになっていたし、(足を)振るんじゃなくて、当てることだけに集中した。振ってたら、外れていたと思う」(西川)

 浮かさないこと、しっかり当てることを意識した最小限の振りでボールをインパクト。派手に突き刺すような弾道ではないが、最適な弾道だった。「もう何でもいいから決めたかった」と言う男にとって待望のゴール。その後も球際でファイトしながら、ぬかるんだピッチを走り続けて「もうつりそうだった」という自分の足へ鞭を入れて戦い続けた。

 森山佳郎監督は西川について「『いつ決めてくれるんだ?』と思わせておいて、ここまで引っ張るとは」と冗談めかして語った上で、「でもゴールがなかったときも彼がちょっと前線で時間を作ってくれるとか、CKを奪ってくれるとかが大きかった。アシストもしてくれていて、本当に大きく貢献してくれていた」と評価する。「チームのために本当にハードワークするようになってくれた」と、その成長に目を細めた指揮官は「結局最後に全部持っていったね」と、あえて厳しく接してきた愛弟子の殊勲を喜んだ。

 もちろん、西川自身はここで満足する気などまったくない。「ずっとあこがれていた舞台」である来年のU-17W杯へむけて牙を研ぎ直す考えだ。

「ここからの1年間、まずは自分のチームで選手権でも結果を出して、なおかつ自分自身をもっともっと成長させて、W杯に行きたい」(西川)

 大会MVPも獲得してフィニッシュすることになったこの1か月を「最高に濃い時間で、本当に貴重な経験ができた」と振り返った日本の10番は、早くも次なるステージを見据えていた。

(取材・文 川端暁彦)
●【特設】AFC U-16選手権マレーシア2018
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