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「壁パスからドリブル!」。強み生かして攻めた西武台が5-0で埼玉3回戦へ

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後半3分、2点目のゴールを決めた西武台高MF齋藤和樹(右)がアシストのMF若谷拓海(左)、先制点のFW浦上颯太と喜ぶ

[10.14 選手権埼玉県2回戦 川口北高 0-5 西武台高 西武台高G]

 第97回全国高校サッカー選手権埼玉県予選は14日に2回戦を行い、8年ぶりの優勝を狙う西武台高が川口北高に5-0で快勝。西武台は27日の3回戦で18年2冠の成徳深谷高と戦う。

「壁パスからドリブルで行け!」。前半、ボールを握っているものの、突破、シュートが少なかった西武台の選手たちに向けて、守屋保監督から檄が飛んだ。相手にもはっきりと伝わるような声で攻め方を指示。これがきっかけで西武台の攻撃のテンポが上がった。

 注目の大型ボランチ、MF大塚悠平(3年)からFW深代陸(3年)への縦パス、サイドチェンジ。そしてFW関口崇太(3年)、MF若谷拓海(3年)、FW浦上颯太(3年)がドリブルで仕掛けるようなシーンが増えた。指揮官は「相手に読まれるのは関係ない。自分たちのストロングポイントが出て、ようやく相手が苦しむし、次の手を出して行けるようになる。分かっているからやらないのではなく、やれて次が出て来るのです」。自分たちの特長を出して、相手の警戒を上回った西武台が5得点を奪った。

 先制点は高速カウンターからだった。前半35分、西武台は自陣ゴール前相手セットプレーに対応。ボールを奪うと大塚が中央を大きく前進し、右前方を走る浦上へ右足アウトでスルーパスを通す。これを受けた浦上がGKとの1対1を制して先制した。

 過去に2度県3位に入った歴史を持つ公立校、川口北は左のFW森山魁斗(3年)、右のFW松山健作(3年)の両翼が力強い仕掛け。相手のパスワークに対して焦れずに守り、ボールを奪ってから切り替え速く攻めて、ロングボールやドリブル突破などからシュートまで持ち込もうとした。

 だが、西武台はCB飯塚瑛二(3年)や大塚が高さを発揮。そして、GK高麗稜太(3年)の切り替え速いスローからすぐに攻め返す。1-0で折り返した後半3分には右SB小室佳祐(3年)の縦パスから深代が右サイド深い位置へ抜け出し、後方へパス。これを受けた若谷がカットインから左足クロスを上げると、飛び込んだMF齋藤紀樹(3年)が頭で2点目のゴールを決めた。

 さらに5分、右サイドで大塚からのパスを受けた浦上がクロス。これを深代が鮮やかなオーバーヘッドシュートで決めて会場を沸かせる。そして、15分には左サイドからパスを繋ぎ、深代のスルーパスで抜け出した大塚が右足で決めた。

 川口北は中盤で奮闘したMF大谷知馬(3年)のミドルシュートやGK門馬翔輔(2年)の好セーブで食い下がったが、西武台は26分にも左サイドから切れ込んだ関口が右足で決めて5-0。運動量の低下や終盤の決定力など課題も残した西武台だが、2試合連続無失点で3回戦進出を決めた。

 西武台は前半半ばから特長を出す回数を増やして快勝。選手たちは自分たちの武器とする部分で戦うこと、その武器で相手を上回ることの重要性を再確認していた。深代は「それをやりつつ読まれていても、分析されていても通用するくらいに回していければいいと思っています」と語り、大塚も「サイドからのワンツーだったり縦につけてのテンポの速さは武器だと思っている。次の成徳(深谷)戦でも出せればいい結果に繋げていけると思います」と自分たちの武器を発揮して勝つことを誓った。

 2週間後の3回戦で対戦する成徳深谷は今年、公式戦で1勝1分1敗と五分の成績。大塚は「(成徳深谷には)もう負けたくないです。全国に絶対に出るというのがある。この期間しっかり練習して挑んでいきたいと思っています」。注目CBイディアゲリ康介(3年)の負傷、不在は痛いが、仲間のためにも勝ち続けて全国切符を必ず勝ち取る。

(取材・文 吉田太郎)
●【特設】高校選手権2018

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