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「ここが勝負」。埼玉2回戦注目カードは、西武文理が関東出場校・立教新座を1-0撃破!

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勝利を喜ぶ西武文理高イレブン

[10.14 選手権埼玉県2回戦 立教新座高 0-1 西武文理高 西武台高G]

 第97回全国高校サッカー選手権埼玉県予選は14日に2回戦を行い、西武文理高が関東大会出場校の立教新座高を1-0で撃破。西武文理は27日の3回戦で浦和北高と対戦する。

「ドローで立教さんが (2回戦で対戦すると)決まった時から、『ここが勝負』だと思っていた」。西武文理の3年生は3年前のインターハイ出場を見て入学した期待の世代。山口豊監督はそのチームが上位進出するためには、この2回戦が「勝負」だと考えていた。

 今年、練習試合で対戦した際は0-0で引き分け。ともセットプレーを得意とし、後半に“特別な”切り札を持っている。今年の成績は立教新座が関東大会予選準優勝、インターハイ予選3位と大きく上回っていたが、西武文理は埼玉県2部Bリーグで現在最少失点の自信と経験、そして「(下級生中心の相手に対し、)こっちの方が相手よりも気持ち入っていた」(FW澤田颯太、3年)という3年生の思いの強さが紙一重の差をもたらした。

 前半は大きな展開の試合となった。西武文理は前線やサイドのスペースにボールを入れて起点を作ると、手数をかけずに澤田がシュートへ持ち込んだ。一方の立教新座はリスクを負わずに試合を進めながら、ボールを繋げるシーンでは後方から丁寧に攻撃を組み立てようとする。

 MF新谷圭太(3年)がボールを収め、MF渡邉佑(2年)がドリブルで打開していたが、西武文理のプレッシャーは鋭く、簡単にはシュートシーンを作らせてもらえない。ただし、立教新座もCB南口周矢(2年)とCB清水昭希(2年)中心に相手の攻撃を良く跳ね返し、0-0で前半を終えた。

 ともに後半勝負の両校。4分、西武文理が先に動き、MF山本竜也(3年)をピッチへ送り出す。その直後には立教新座がエースFW稲垣輝一主将(3年)とFW細田翔太(3年)を同時投入。互いにゴール前のシーンが増えてゲームが加速していった。

 迎えた15分、今度は西武文理がエースFW橋爪健(3年)とFW浅見玲王(3年)を同時投入。互いにカードを切った後も拮抗した展開が続く中、セットプレーが明暗を分けた。25分、立教新座は右中間で獲得したFKから稲垣が左足を振り抜くも、ボールはゴールマウスを直撃。一方の西武文理は31分、浅見が獲得した右CKを自ら蹴り込むと、ファーサイドの橋爪が打点の高いヘッドで競り勝つ。これをゴール前の澤田が頭でコースを変えて待望の先制点。まるで自分のゴールのように喜びを露わにしていた稲垣中心に、西武文理の歓喜の輪が広がった。

 この後、西武文理は虎の子の1点を守る。相手のキーマン・稲垣に対しては「知っている選手なので元々警戒していた。コミュニケーション取りながら守ることができた」というCB河村祥栄主将(3年)や右SB齊藤龍太郎(3年)が数的優位を作りながら対応。立教新座も稲垣や細田が抜け出しからゴールに迫るが、西武文理は188cmの高さを持つ河村とカバーリング優れたCB山崎拓郎(3年)中心に最後まで崩れなかった。

 西武文理は3年前ほどの抜きん出た個こそいないものの、山口監督は「あの時よりも層が厚いと思います。今年は替えがきく」と分析。特長を持った選手が先発、サブにもいることが強みだ。期待される中でなかなか結果が出なかったが、「本当にこのままでは終われない。みんなポテンシャルは高いと思います。伝える部分だったりちょっと遠慮していた部分があったけれど、それが伝えられるようになった」(河村主将)と意識を変えて取り組んできた成果が選手権で結果に繋がり始めている。

 次の目標は3回戦で勝って浦和駒場スタジアムで開催される準々決勝へ進出すること。そして、川村は「ここから一層ギアを上げて、スタジアム、(ベスト)8にとどまらず、4とか選手権では行ったことがないと思うので、歴史を塗り替えて、文理の史上最高の代と言われるように努力していきたいです」と意気込んだ。

「勝負」の2回戦を突破し、このまま突っ走ることができるか。「非常に大きな1勝だと思います。今までにないくらい団結していますね」(橋爪)という西武文理が、選手権で歴史を変える。

(取材・文 吉田太郎)
●【特設】高校選手権2018

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