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[MOM572]日本大MF金子拓郎(3年)_延長後半AT3分、ラストプレーの同点FK

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MF金子拓郎が後半アディショナルタイム3分に劇的FKを蹴り込んだ

[大学サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[11.17 昇格決定戦 日本大2-2(PK5-4)山梨学院大 埼玉スタジアム第3グラウンド]

 日中は季節が逆戻りしたかのような暖かさだった。しかし時刻は午後5時に近づき、陽が落ちたことで肌寒さを感じるようになっていた。

 延長戦にもつれ込んだ一戦。ただ延長前半2分に山梨学院大が勝ち越しゴール。関東2部への1年での返り咲きを目指す日本大は窮地に立たされていた。

 だがそれでも誰一人として諦めている選手はいなかった。すると延長後半アディショナルタイム、MF金子拓郎(3年=前橋育英高)が果敢なドリブル突破からエリア手前、ゴール右の位置でFKを獲得する。

 それまで幾度となくチャンスを外していた金子は、「責任を感じていた」という。ボールは金子自らがセット。自分だけの世界に集中すると、左足で壁の外側を巻くようにして蹴り込む。「ストーンを通った瞬間に決まったと分かった」。ボールはゴール左隅のネットを揺らした。

 1年で関東リーグに戻すという強い決意をもって臨んだ今季だったが、後期リーグ初戦の学習院大戦で右足第五中足骨を骨折。全治2か月と診断され、後期リーグの欠場を余儀なくされた。

 ただそこからは関東2部への昇格を決める関東大学サッカー大会で復帰を目指すことだけに集中した。そして11月4日の同大会グループリーグ第2戦の産業能率大戦で復帰。グループ1位通過に貢献すると、決定戦の最後の最後にチームを救う劇的弾を蹴り込んだ。

「怪我をした時に決定戦に照準を合わせるしかないなと思った。リーグ戦はみんなに任せて、自分は決定戦で仕事をしようと思った。参入戦もグループリーグで点が取れていなかった。今日負けたら1年間の意味がなくなってしまうので、最後に取れて良かったです」

 金子は今年2月に関東B・北信越選抜でプレーした注目選手。将来はもちろん、Jリーガーになることを視野に入れている。最終学年となる来季を関東リーグで戦えるのか、東京都リーグで戦うのかではアピール度も違ってくる。「やれる自信はある」。注目レフティーが勝負の一年に向かう。

(取材・文 児玉幸洋)

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