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Jリーグがスタジアム基準を改定、猶予期間認め上位ライセンス取得可能に

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J2町田は順位要件を満たしながらJ1参入プレーオフに出場できなかった

 Jリーグは12日、都内で理事会を開き、Jリーグクラブライセンス制度に関わるスタジアム基準の改定を決議した。スタジアム整備において一定の条件下で猶予期間が認められることになり、J1クラブライセンスのスタジアム要件を満たしていないクラブでも、新たに設けられた条件をクリアすれば、早ければ2020年にもJ1昇格が可能となる。

 新たな基準は以下のとおり。

【1】スタジアム整備において、条件を満たした場合の猶予期間を設置
・例外規定1 着工しており3年以内に完成可能であれば、上位ライセンス取得可能
・例外規定2 Jリーグが掲げる理想的なスタジアムを整備するのであれば、5年の猶予を認め(例外1との併用も可能)、上位ライセンス取得可能

【2】 理想的なスタジアムは、①アクセス②屋根③ビジネスラウンジ・スカイボックス・大容量高速通信設備④フットボールスタジアムの4つの要件から定義

【3】 上記改定に基づきトレーニング施設整備に関しても3年の猶予期間を設置

【4】 上記理想的なスタジアム推進のための補助金制度(1クラブあたり最大1000万円)を設置


※1 クラブライセンス制度にかかわる【1】~【3】については、2019年申請(2020年ライセンス)から適用となる。【4】についても2019年から運用開始
※2 上記いずれの例外規定であっても、猶予期間を設定できない照明・諸室については、従前どおりシーズン開幕までに整備する必要がある(猶予が可能な項目は「入場可能数」および「大型映像装置」のみ)


 今回の改定に至った背景の一つには「競技の公平性」がある。今季のJ2リーグでFC町田ゼルビアはシーズン4位で順位要件を満たしながら、J1ライセンスを取得していないため、J1参入プレーオフに出場できず、昇格への機会が与えられなかった。同様のケースは過去にもあり、14年のJ2で5位だったギラヴァンツ北九州がJ1昇格プレーオフに出場できず、17年にもJ3で優勝したブラウブリッツ秋田がJ2に昇格できなかった。

 さらに、昇格に密接に関係するため、屋根のない陸上競技場を改修することでクラブライセンス取得を目指すなど、基準充足のみを念頭に置いた施設整備の検討を行うケースも見られることから、施設整備に向けた猶予期間を設けることで課題解決につなげるだけでなく、Jリーグの考える「理想のスタジアム」を明記することで施設整備の方向性を示す狙いがある。

 例えば来年、J1ライセンスを持たないJ2クラブが「例外規定1」を適用する場合、クラブは19年6月末のライセンス申請時に合わせて、施設基準の例外適用1申請を行う。これまでは翌20年シーズン開幕までに基準を満たしたスタジアムが完成している必要があったが、基準を満たすための工事が着工されており、3年以内に完成すると判断されれば、例外を認め、J1ライセンスを取得可能となる。その場合、チームが順位要件を満たせば、晴れてJ1に昇格できる。ただし、例外適用申請から3年目に完成が必要で、その約束を守れなかった場合、例外的に上位リーグに所属している場合は翌年、下位リーグに降格する。

 来季、J3に昇格するヴァンラーレ八戸を含めたJリーグ55クラブのうち、J1ライセンスを保有していないのは15クラブ。記者会見した青影宜典クラブライセンスマネージャーによると、「当然、これまでクラブもまじえて議論してきた。感触としては(来年、例外規定を)利用するクラブはいくつかあると思う」と話した。

(取材・文 西山紘平)

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