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“約束”の青空会談…長友が北川に助言「もっとワガママになっていい」

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ランニングするDF長友佑都

 有言実行の声がけだった。アルアインでの初調整となった15日、練習前のグラウンドでは日本代表DF長友佑都(ガラタサライ)とFW北川航也(清水)が話し込む姿が見られた。

 DF三浦弦太、DF室屋成と3人でボール回しをしていた北川だったが、遅れてピッチに現れた長友がタッチラインの外でスパイクを履いているのを確認すると、ボール回しの輪を離れ、長友の横に座り込んだ。森保一監督から全体練習開始の声がかかるまで、2人は真剣な表情で話していた。

「この前の試合のことですけどね。もっと彼の特徴を出せると思う。Jリーグでいいパフォーマンスを出せて、日本代表で出せないはずがない。代表に来て周りの選手のレベルも上がって、もっと彼を引き出すプレーができると思う。周りとの連動を含めて、もっと(周りが)彼を見ないといけない」。練習後、長友は北川に伝えたかった思いを熱く語った。

 右臀部痛でFW大迫勇也が欠場した13日のオマーン戦(○1-0)。エースの代役として北川が1トップで先発したが、なかなかボールが入らず、周囲との連係も欠く中、シュートを打てないまま後半12分に交代した。

 試合後、国際Aマッチ2度目の先発だった22歳のストライカーについて「まだ遠慮している。若いというのと経験がないということで自分自身を出し切れていない」と指摘した長友は「彼とも話したい。若手が生き生きプレーできていないのはベテランである僕らの責任」とかばい、ピッチ外でもコミュニケーションを取り、アドバイスを送りたい考えを明らかにしていた。

 その言葉どおりの“青空会談”。「僕も若いときは試合に対して怖さや不安があったけど、俊さん(中村俊輔)や(中澤)佑二さんが僕を支えてくれた。自分が経験から学んだものを伝えたい」。自分自身の経験も踏まえ、ベテランとして若手をフォローし、支えていきたい長友は「FWなのでもっとワガママになっていい」とも要求する。

「車で言ったらこのチームのハンドルを握るんだと。助手席に座るだけでなく、ハンドルを握るぐらいの気持ちでFWはやってほしい。堂安も(南野)拓実も(パスが)欲しいときは要求するし、自分がミスをしてもチャレンジし続ける。上に行く選手は失敗してももう一回チャレンジする。勇気のある選手が成功できる」

 初戦となった9日のトルクメニスタン戦(○3-2)に途中出場した北川は自身のボールロストからカウンターを浴び、失点につながるPKを招いた。「初戦のミスを引きずっていたら、より一層怖さや不安は出てくるもの。それを引きずってプレーしても後悔するのは自分。プレッシャーを背負ってここで戦えるのは限られた選手にしかできない。楽しんでほしい」。強い自己主張と、ミスを恐れずチャレンジし続ける勇気。「(本田)圭佑も岡崎もだれよりも失敗していると思う。でも、だれよりもチャレンジしている。そういう選手が上に行ける確率が高まる。そこを知ってほしい」。かつての盟友の名前を挙げ、北川のさらなる成長に期待した。

(取材・文 西山紘平)

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