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慌てず動じず完封の長友「ポゼッションでサッカーをするわけではない。勝ったチームが強い」

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勝利に胸を張るDF長友佑都

[1.21 アジア杯決勝T1回戦 日本1-0サウジアラビア シャルジャ]

 驚きの数字だったが、それでも勝ったのは日本代表だった。ボール支配率は日本の23.7%に対し、サウジアラビアは76.3%。「苦しい試合でしたね」。開口一番、そう切り出したDF長友佑都(ガラタサライ)は「今までないんじゃないですかね、ここまで握られるのは」と指摘。国際Aマッチ113試合目にしてアジアのチームを相手にこれほどポゼッションされるのは初めての経験だった。

 それでも「握らせているというか、メンタル的に崩れることはなかった。最終的な怖さはなかった」と、決して慌てることはなかった。「今までの日本ならポゼッションを握れなかったらボロが出てやられていた。今は海外で厳しい試合を経験している選手も多くて、握られてもメンタル的に余裕がある」と胸を張る。

 サウジアラビアがポゼッションしてくるのは想定内であり、1トップのFWファハド・アルムワラドにスピードがあるのはW杯予選でも体験済みだった。「相手はポゼッションしたがるし、中に人数をかけてポゼッションしてくる。最後、体を張っていれば問題ないし、速い選手がいるので裏のケアを心がけて入った。集中した、いい試合ができた」と強調した。

 シュート数でも5本対15本と、3倍以上打たれたが、枠内シュートで見ると、日本の2本に対し、サウジアラビアはわずか1本。前半11分にはDF吉田麻也が顔面ブロックでシュートを止め、後半42分には吉田、MF柴崎岳、長友と立て続けに体を張ってピンチをしのいだ。後半17分、アルムワラドに吉田がかわされて折り返された場面ではMFサレム・アルダウサリにフリーでシュートを打たれたが、これはクロスバーの上へ。相手のシュートミスにも助けられ、無失点で90分を終えた。

 もちろん、課題はある。「攻撃ではパスをつなぐところの精度を上げないと、強い相手には難しくなる。いい守備からどう攻撃につなげるか」と長友は指摘する。「(ビルドアップで)ミスもあったし、つなげるところでクリアしてしまうところもあった」。23.7%というボール支配率はもっと上げることができたし、もっと上げる必要もある。「でもポゼッションでサッカーをするわけではない。勝ったチームが強い」。その言葉は偽らざる本音だった。

(取材・文 西山紘平)

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