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ニコロ・ザニオーロって誰?ローマに現れたトッティ以来となるティーンエイジャーとは…

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19歳のMFニコロ・ザニオーロに期待が集まる

 昨年、インテルのチーフ・スポーツ・ディレクターのピエロ・アウジーリョは、こう打ち明けた。

「コウチーニョを売りに出したことを、インテルは20年に渡って最大の後悔とするだろう」

 しかし、これは事実ではなくなるかもしれない。

 MFニコロ・ザニオーロは、フランチェスコ・トッティ以来の、セリエAで3得点を挙げた最年少選手となった。

 その彼をローマに450万ユーロで売ったのは、インテルだった。

 ファイナンシャル・フェアプレー(FFP)もその決断に至った要因の一つだったが、実際のところ、ネラッズーロは、ラジャ・ナインゴランと2400万ユーロで契約するための資金の足しとして、ザニオーロを使ったのである。これにより、インテルは移籍市場における敗北者としての地位を確固たるものとした。

 コウチーニョ同様、アンドレア・ピルロ、クラレンス・セードルフ、ファビオ・カンナバーロ、ロベルト・カルロス、デニス・ベルカンプ、レオナルド・ボヌッチといった選手たちが、ネラッズーロを去った後に偉業を成し遂げ続けている。

 ザニオーロはまだ、輝かしい先輩たちほどではないが、いずれそれをやり遂げるだけの才能はある。そのことをインテルは、その目で見て悔しがっていることだろう。

 2017年の夏、ユベントスやミランとのタフな戦いを打ち破るあらゆる手段を講じて、インテルはセリエBで7試合しか出ていないザニオーロをビルトゥス・エンテッラから獲得した。

 この10代の選手は、アッピアーノ・ジェンティーレでの初めてのシーズンで、ユースのリーグであるプリマベーラでネラッズーロが優勝したとき、ミッドフィルダーながら得点王となった。

 しかしインテルは昨夏、ルチアーノ・スパレッティ監督がナインゴランを起用できるようにするため、躍起になっていた。ローマのスポーツ・ディレクターにして移籍市場を最も賢く動き回る一人であるモンチが、この機会をフルに活用し、自身が「イタリアサッカー界で最も将来が楽しみな一人」とみなす選手を手放すよう、ネラッズーロを説得したのである。

 しかし、そのモンチでさえも、ザニオーロの成長ぶりには驚きを隠せない。

「6カ月はかかるだろうと思っていた。だが、彼はすでにトップでプレーできる状態にある」

 18年のU-19欧州選手権で準優勝したイタリア代表を鼓舞するザニオーロを見た誰もが、彼がフル代表でも活躍できると思ったことだろう。

 事実、ロベルト・マンチーニ監督は、このティーンエイジャーがローマでデビューする前に、イタリアのフル代表に招集している。

 その後、ローマのエウゼビオ・ディ・フランチェスコ監督は、ザニオーロのデビューの舞台をチャンピオンズリーグに選んだ。相手はレアル・マドリー。場所はサンティアゴ・ベルナベウ。彼は大舞台で堂々たるプレーを見せ、監督はその冷静さを高く評価した。

 しかし、ビルトゥス・エンテッラのスポーツ・ディレクターであるマッテオ・スペルビは、ザニオーロの自信に満ちたプレーに何の驚きも感じなかったという。

「あれが彼の素晴らしい才能の一つだ。不安になってプレーできないなんてことはないからね」

 彼を逃してしまったクラブは、インテルだけではない。父親のイゴールによると、16年にフィオレンティーナが彼を放出したのは、「身長が足りない」からだったという。

 ザニオーロ自身は「新しい選手が来るから」と言われた後、クラブと同意に至っただけだったという。失望していることを認めた一方、古巣に強烈な言葉も贈っている。

「もう終わりだとがっかりしたかって? 確かに。だって9年もいたのに、ひどい扱いをされたんだからね。でも、それが彼らの選択だった。僕と入れ替わりに入った選手たちが僕より優れていたかどうか、見てみればいい」

 苦々しい気分だったことは明らかだが、ザニオーロは前を向いて、新しいチームに向かった。若者は、今や自分を捨てたフィオレンティーナとインテルが間違ったことを証明するという、決意を原動力にしている。

 彼のゴール数を見ただけでも、結果は確かに明白だ。

 事実、サッスオーロ戦でのザニオーロの、力の抜けたチップによるシュート以上にクールなゴールが、今シーズンの残りの試合で見られるとは思いがたい。とんでもないフェイントでアンドレア・コンシーリとジャン・マルコ・フェラーリに尻もちをつかせて置き去りにした後の、見事なゴールだった。

 トリノ戦では、エリア内で倒されながらボールをコントロールしようとする姿に、ザニオーロのテクニックと革新性が見てとれた。その後、素早く身体を回転させ、得意な左足でゴールネットの天井部分にボールを叩きこんだのだった。

 そうした卓越した技の披露を見れば、昨年夏のワールドカップのグループステージ敗退からいまだ立ち直っていないイタリア代表に、ザニオーロを入れるべきだという浮ついた話が花開くのも、驚くべきことではない。

 アズーリは新たなスターを求めている。若くて才能があり、タフなザニオーロはまさにうってつけだ。

「私に言わせれば、彼は才能とエネルギーを兼ね備えたミッドフィルダーであり、スティーブン・ジェラードやフランク・ランパードのようだ」

 そう賛辞を惜しまないのはインテル・プリマベーラの元監督ステファノ・ベッキである。一方、ザニオーロの父は息子を、体格においてもポジションにおいても、カカに似ていると思っているが、「息子は(ハビエル)パストーレに似ている。パストーレは怪物だが、ニコロはまだまだ先が長い」と冷静に話す。

 もっとも現在、ローマの司令塔としてファーストチョイスされているのはザニオーロであり、パストーレの方はベンチを温めざるをえなくなっている。

 今やイタリア中が、ザニオーロがスーパースターへの道を歩み続けることを希望しており、今週のチャンピオンズリーグのベスト16のポルトとの試合で活躍することを望んでいる。

 もっとも、アウジーリョとインテルの関係者全員は違うかもしれない。

 ローマにとってトッティがそうだったように、ネラッズーロが、イタリアで最もエキサイティングなティーンエイジャーを譲ってしまった痛手から立ち直るには、しばらく時間がかかることだろう。

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