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中学でサッカーを断念、そこから高校eスポーツ王者に…佐賀・鹿島高の攻撃を司った“Ron-nex”中原蒼惟

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佐賀・鹿島高の優勝に大きく貢献した“Ron-nex”中原蒼惟

 第1回全国高校eスポーツ選手権『ロケットリーグ部門』が23日に行われ、佐賀県の鹿島高『OLPiXと愉快な仲間たち』が初代王者に輝いた。

 ロケットリーグはプレーヤーが“バトルカー”を操作する3対3のサッカーゲーム。第1回大会で鹿島高の優勝に大きく貢献した一人が“Ron-nex”中原蒼惟(2年)だ。圧倒的な得点力と冴えわたるパスセンスで攻撃を牽引。主将の“OLPiX”伊東賢洋(2年)とともにゴールを量産した。

 もともと中学生までサッカーをやっていた中原。鹿島市立西部中でFWをやっていたが、膝の故障により前後半どちらか半分しか出られなくなり、サッカーを断念。「家にいる時間が多くなった」ことで自然と小さなころからやっていたゲームに手が伸びたという。

 ロケットリーグを始めてまだ1、2年。伊東とともにオンライン上で実力を磨き、高校eスポーツ選手権への出場を決意した。集めた仲間と順調に決勝進出を果たしたものの、「決勝の場に立ったときは観客に見られている不安でミスしたらどうしよう」とプレッシャーに悩まされた。しかし「最後はみんなでチームワークで一生懸命頑張った」と総力戦で乗り切り、栄えある初代王者となった。

 応援席では父・慶太さんが息子の雄姿を見守った。「第1回の王者は誇らしい。いつまでも名前が残りそうなので嬉しいですね」と笑みをこぼす。慶太さん自身も若いころはゲーム世代だった。「そういうところもあって、彼もやっていたと思います」とeスポーツに理解を示している。

「高校2年の受験勉強前なので出させてくれと言ってきたんです。彼がそこで一生懸命やろうとしていたし、eスポーツは国体種目にもなる。そこはやってみてもいいんじゃないかなと逆に応援しました」

 ゲームは勉学の妨げになると、誰もが親から文句を言われたことはあるはず。しかし慶太さんは「私は特段ゲーム自体に悪いイメージはないですよ。指先を使うし、頭の回転も早くなるし。どちらかというと賛成です」と息子の背中を押す。「チームを組んでやるのもコミュニケーションツールとして非常に良いことだと思います」。

 中原は家族の理解を得られて「練習しやすかった」と感謝を口にする。「eスポーツは怪我もしないし、本当に普通のスポーツと同じでやったらやっただけうまくなる。それが魅力」。高校eスポーツの王者は今後も色んな大会に参加し、ロケットリーグの良さを広めていくつもりだ。

(取材・文 石川祐介)

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