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「トーキョーにまた来たい」。チームの優勝、得点王、MVPの3冠に輝いたアルゼンチン代表・マキシの誓い

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アルゼンチン代表のマキシ(左)は195cmのイングリッシュが来てもひるまない

【IBSAブラインドサッカーワールドグランプリ2019 決勝】(品川区立天王洲公園)
[3.24 アルゼンチン代表 2-0 (前半1-0)イングランド代表]

 昨年ど同一カードとなった決勝は、アルゼンチン代表がエースのマキシこと、マキシミリアーノ・エスピニージョの2発で快勝。今大会6ゴール目で得点王にも輝き、大会連覇を飾った。

 アルゼンチン代表は前半10分、中央付近でイングランドの185cm近くあるブランドン・コールマンのドリブルをマルセロ・パニーザが止め、そのこぼれ球をマキシが拾って前進。ゴール前に迫ると、195cmのダニエル・イングリッシュと対峙するも、厳しく体を当てに来る前にシュートを放ち、1点を先制した。さらに、後半16分も左CKを起点に、マキシがドリブルで中央に侵入。立ちはだかるイングリッシュが体をぶつけに来るまえに右足を振りぬき、勝利を決定づける2点目を決めた。

 この決勝を前に頭髪の一部を緑のスプレーで染めたマキシは「弟の子供がサッカーをやるときに使っているそうなので、いい結果を出せるようにやってみた」と余裕の表情。この大会6得点で、イングランド代表のイングリッシュやコロンビア代表のゴンザレスと並ぶ得点王、大会MVPの3冠にも輝き、「周りの選手の努力のおかげ」と感謝した。

 アルゼンチン代表は6月に東京五輪パラリンピックの出場権をかけたアメリカ大陸予選を控える。ブラジルはすでに決まっており、アメリカ大陸の枠は1。アルゼンチンは優勝候補の最有力だが、コロンビア代表、メキシコ代表など気の抜けない相手がひしめき、ヘルマン・マルケス監督は厳しい戦いを予想する。そのため、この大会に国際経験がまだ十分に積めていない若手を5人呼び、世代交代も視野に入れながら経験を積ませた。

 エース・マキシもよりキレのある動きを出すために、昨年11月の来日時より体重を5㎏絞り、さらに日本でも2㌔絞ったという。アルゼンチン代表のチーム関係者が「マキシのことは、アルゼンチンの選手でもなかなか止められない」と言うほどの強さの持ち主。日本代表が準決勝で苦しめられたイングランド代表のイングリッシュをいとも簡単に抜き去り、2ゴールをあげた。

 表彰式が終わると、「アリガトー、アリガトー」と叫びながら歌い、連覇の喜びを爆発させた。マキシが解説する。

「メロディーはあの場で考えたんだよ。『アリガトー』は『Gracias』の意味だとわかっていたよ。来日したときから僕たちのことをリスペクトしてくれて、そのことに対してありがとうと言いたかったんだ。これから大陸予選があるけど、勝って、また東京に来たいね」

 サッカーのアルゼンチン代表、メッシをほうふつとさせる決定力。マキシは2020年も主役になることは間違いない。

【個人表彰】
◆MVP
マキシミリアーノ・エスピニージョ(アルゼンチン)
◆MIP
ダニエル・イングリッシュ(イングランド)
◆得点王
マキシミリアーノ・エスピニージョ(アルゼンチン)
ダニエル・イングリッシュ(イングランド)
ジョン・ゴンザレス(コロンビア)
◆ベストゴールキーパー
佐藤大介(日本)
◆TANAKA Great Effort award
アドルフォ・アコスタ(スペイン)

ワールドグランプリ日程 / ルール

(取材・文 林健太郎)

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