beacon

“甲斐の神速マシンガン”FW宮崎が凄みある突破、そして終了2分前に決勝点!

このエントリーをはてなブックマークに追加

試合後、勝利と決勝ゴールを喜ぶ日本高校選抜FW宮崎純真(山梨学院高→甲府)。(写真協力=高校サッカー年鑑)

[4.18 デュッセルドルフ国際ユース大会 日本高校選抜 2-1 ボルシアMG]

 前回大会のファイナルと同カードとなった開幕戦。日本高校選抜FW宮崎純真(山梨学院高→甲府)が大熱戦に決着をつけた。

 25分ハーフの試合は前半に日本高校選抜が先制したが、ドイツの名門・ボルシアMGは後半に追いつき、さらに逆転を狙って押し込んできていた。だが、日本高校選抜は勝負どころでJリーガーの宮崎が攻撃を牽引する。

 19分、MFバスケス・バイロン(青森山田高→いわきFC)からのスルーパスを受けると一気に縦へ持ち込んで角度のない位置からクロスバー直撃の右足シュート。直後にも縦突破からFW染野唯月(尚志高3年)の決定機を演出した。

 そして試合終了2分前の23分、中盤中央のMF秋山裕紀(前橋育英高→新潟)がボールを持つと、宮崎が斜めのランニングでスペースへ抜け出す。染野が上手く相手DFをブロックしていたこともあって、強引にDFの前に潜り込んだ宮崎はそのまま右足一閃。飛び出してきたGKの脇下を抜けたボールはそのままゴール右隅へ吸い込まれた。

「秋山がハーフタイムに『結構、相手前掛かりになっていて食いついて来るから裏一発、見といて』と言っていて、あの形は前(直前合宿)から共有していました」と宮崎。プロとして活動している2人のコンビネーションから歓喜のシーンが生まれた。

 必ず結果を出す、必ず成長すると決めて、シーズン中の甲府を離れてきた。宮崎は「プロというプレッシャーはそんなに大きく感じていないですけれども、何もできないまま終わったら…せっかくチームが出してくれて、自分もチームを離れると決めて来たので何とか結果を残したかった。初戦で残せたのはデカかった」。試合終盤、明らかに自分で決めに行っていた宮崎がその気迫、ストライカーとして責任感がゴールに結びついた。

 殊勲の決勝弾だけではない活躍だった。前半、なかなか前にボールを運ぶことができないチームの中で宮崎のスピードと推進力は大きな力に。朝岡隆蔵監督(前市立船橋高)も「アタックしていたし、推進力があった」と評していたが、宮崎はDFに2度3度とファウルで止められても、繰り返し縦に仕掛けていた。粘土質の重いピッチの中、1人で10m、20mと前進し、チーム全体を前へ。前半24分に染野が決めたFKを獲得したシーンも、カウンターから宮崎がDFのタックルを振り切って前進したことが大きかった。

「結構相手の中盤とDFの間にギャップがあったし、そこで受けて前にドリブルで運んでチャンスを作るというのが自分の特長なので意識していた。それだけにならないで、朝岡監督からは逆サイドにある時に『斜めの動きを意識しろ』と言われていた」。自分の強みとチームから求められているもの、両方を発揮してヒーローになった。

 本人は守備面でもっとやるべきことがもっとあるという考え。より決定力も高める意欲があるが、これで日本高校選抜での対外試合は4戦連発中だ。宮崎自身も欧州でも自分のスピードが通用している感覚、成長できている感覚があるようだ。

「(甲府監督の)伊藤彰さんにも『向こう行って成長して帰ってこい』と行って送り出してもらった。プロ1年目で自信なさげになっていたところがあったので、自信を取り戻していきたい」。昨年のインターハイで宮崎は準々決勝で同点、決勝ゴールを決め、決勝では後半アディショナルタイムに劇的な同点ゴール。そして延長戦で縦突破から決勝点を演出した。

 山梨学院を初のインターハイ制覇へ導いたあの夏同様にリードされたり、追いつかれたりしてもチームを勝たせる勝負強さとメンタリティ、凄みがまた出てきている。デュッセルドルフ国際大会は最大であと5試合。帰国後に甲府のコーチ陣から“使いたい”と思わせるくらいの活躍と、成長を果たして“甲斐の神速マシンガン”は日本高校選抜での挑戦を終える。

(取材・文 吉田太郎)
●【特設】高校選手権2018
2019日本高校選抜欧州遠征特設ページ
★日本高校選抜の活躍を プーマ フットボール公式Instagram アカウント でもチェック!
第57回デュッセルドルフ国際ユースサッカー大会公式サイト(別サイトに移動します)

TOP