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新潟から高校選抜参戦のMF秋山、“生命線”を機能させて「海外にはない日本の良さ」を

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日本高校選抜MF秋山裕紀(前橋育英高→新潟)。(写真協力=高校サッカー年鑑)

[4.20 デュッセルドルフ国際ユース大会 日本高校選抜 1-3 ブレーメン]

「最低です、今日は。自分はJリーグに入ったので、そのプライドを忘れてはいけない。一つの違い、自分のパスで決められるとか、自分がいることによってチームが安定しているという評価を受けたいし、まだまだ自分の力不足なのかなと思います」

 日本高校選抜のMF秋山裕紀(前橋育英高→新潟)は2連戦を1分1敗で終えた第57回デュッセルドルフ国際ユース大会2日目について、そう振り返った。

 18日の開幕戦(対ボルシアMF)は、本人にとって納得の行くプレーではなかったものの、後半終了間際にループパスで決勝点をアシスト。Jリーガーとしての違いを見せること誓って欧州遠征に参加したMFは、一つ結果を出していた。

 20日の第1試合となったブレーメン戦、前半20分までの内容は良かった。チームは相手の間を取りながら細かくボールを繋いで前進し、突破力のある両SBの攻撃参加などを引き出していた。秋山はボールに絡み、味方の仕掛けに繋がるパスを配球。だが、全体的にシュート意識が低い中で攻めきれなかった日本高校選抜は、前半20分に失点してしまう。

 秋山は直後に左CKからMF岡井駿典(市立船橋高→中央大)の決定的なヘッドを演出したが、25分ハーフの短時間決戦で焦りが出てしまう。「自分の良さを出せなかったのは先制されてしまったことと、自分の焦りがあったからだと思います」。

 失点を取り戻そうと前がかりになって後方の選手たちとの距離が離れてしまった秋山は、求められているボールを引き出すシーンが減少。チームはボールを奪えない、繋げないという悪循環に陥り、0-3となった後半16分に秋山はピッチを後にした。

 この日2試合目となるフランクフルト戦もオフェンシブMFとして先発した秋山だが、前半終了とともに交代。第1試合に比べると、ビルドアップで精力的にDFラインと関わろうとしていたが、チームは全体的にビルドアップのテンポが悪く、彼はプレッシャーがかかっている状態でボールを受ける回数が増えてしまう。結果、ロストするシーンも。秋山はこの試合も中盤が良い形でボールを配球できなかったと感じている。

「(ここまでの3試合)何タッチかしている間に相手は足長いし、速いので食われたりするというのは感じました。もっと自分が受けて1タッチとかタッチ数増えても2、3タッチくらいで上手くリズム良く回せば、どんなにデカくてどんなに強い相手もそれなりには動かしたり、支配していけると思うので、明日の試合ではそこをちょっと意識していきたいと思います」

 群馬の名門、前橋育英高から新潟入りした秋山は、フィジカル面の特別な強さやスピードを持つ選手ではない。精度と判断の部分で勝負してプロ入りを勝ち取った選手だ。高校選抜は彼が加わったことで攻撃面がワンランクアップ。今大会ではまだ十分に表現することができていないが、秋山はそれぞれの選手が意識を変えてプレーすれば、自分たちの強みを発揮できると考えている。

「間違いなく力のある選手たちが揃っていると思う。海外の選手相手にビビらないで一つのボールに11人がかかわる意識を持ってやれれば、間違いなく日本の方がちょっとしたエリアのプレーは上手いと思う。海外にはない日本の良さがあると思うので、そこをもう一回再確認した状態で明日の試合に臨みたい」と力を込めた。

 まずは今年の日本高校選抜の“生命線”である中盤を機能させること。「このチームは中盤が機能しないと全体が機能しないシフトだし、サッカーだと思う。自分の中できょうは表現できなかったので、明日はチームが勝つことを第一に考えながら、『アイツがいれば中盤落ち着くな』とか『ラストパスで結果決まったな』と言われるプレーをして勝って、決勝トーナメントに繋がたいと考えています」。高校サッカーの代表としてプライドを持って戦うと同時に、現状の自分の力を知るために欧州へ来た。新潟への思いを一旦断ち切って高校選抜でのプレーに集中しているMFは、残り2日間のデュッセルドルフ国際ユース大会で巻き返し、頂点まで勝ち抜く。
 
(取材・文 吉田太郎)
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第57回デュッセルドルフ国際ユースサッカー大会公式サイト(別サイトに移動します)

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