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[関東2部]国士舘大FW高橋利樹、早くも“昨年越え”で2部得点ランクトップに

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 国士舘大が苦しんでいる。1年での1部復帰を誓った今季、しかし現状は5位と厳しい状況。ゴールデンウィーク3連戦の最後となる日本大戦ではボールを保持しながらも決めきれず、「分かっていても走られてしまった」(国士大・細田三二監督代行)というカウンターから、日大に先制点を許してしまった。

 後半も状況は好転せず、このまま終了かと思われた86分、国士大を敗戦の憂き目から救ったのが、FW高橋利樹(4年=埼玉栄高)の一撃だった。試合はそのままタイムアップ。国士大は辛うじて勝ち点1を獲得した。

「(西本)卓申(3年=鹿島ユース)には、あのタイミングでボールをくれと前から言っていた」という、左からのクロスに頭で合わせた狙いどおりのゴール。 ポジショニング、タイミング、すべてがドンピシャだった。

 細田監督代行は「決してテクニックのあるほうではないからミスもある」と前置きしながらも、「1試合のうち、必ずどこかで仕事をしてくれる。だから多少のミスは目をつぶっている」と”課題込み”での信頼を寄せる。「高橋はゼンマイ仕掛けのようなFW。サボることのない選手で、最初から最後まで走り続ける」と冗談めかしながら、「相手も、まさかあのタイミングでとりにくるとは思っていなかったでしょう」と笑った。

 これで3試合連続ゴールとなり、4得点で得点ランキングトップに躍り出た。高橋は「これで去年のゴール数を越えられました」と笑う。スランプに陥った昨年、高橋のゴール数はわずかに3。チームの不振とも相まって「責任を感じたし、とにかくミスをしないように、とプレーをしていたような気がする」と振り返る。

 2年時は、リーグ開幕前の天皇杯予選で、目の覚めるようなゴールを重ねるシーズンスタートを切った。リーグ序盤戦ではスタメンも獲得。国士大の新しいエース候補と目されていた矢先に第5中足骨を骨折。残りのシーズンを棒に振ることになった。

 怪我から復帰し、万全の状態で迎えた3年時の不振は前述のとおり。ただ、点を取れないことで、練習の仕方に工夫をするようになったという。

「まずシュート練習の量が増えました。それも単なるシュート練習ではなく、どういうシチュエーションが実際の試合状況に近いか意識するようになった。紅白戦でも、常に試合での状況を意識しています。自分で考えて工夫をするようになりましたね」。もともと、ゴールへの嗅覚は抜きん出ていた。それだけに「1、2年のころは感覚だけでゴールを狙っていた」が、「どうやったら点をとれるのか、突き詰めて考えるようになった」と高橋。

 今季の目標は昨年の5倍の15点。すでに昨季のゴール数をクリアした今、あとは数字を伸ばすだけだ。国士舘大の”仕事人”はチームの昇格のために、さらなるゴールを目指す。

(取材・文 飯嶋玲子)

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