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れいめいが九州王者の鹿児島城西をPK戦で撃破、16年ぶり 4強:鹿児島

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鹿児島城西高撃破を喜ぶれいめい高イレブン

[5.23 インターハイ鹿児島県予選準々決勝 鹿児島城西高 1-1(PK2-3)れいめい高]

 古豪が優勝候補に競り勝った。令和元年度全国高校総体(インターハイ)「感動は無限大 南部九州総体2019」サッカー競技(沖縄)の鹿児島県大会は23日に準々決勝を行い、新人戦で県大会と九州大会を制した鹿児島城西高がPK戦の末にれいめい高に敗れる波乱が起きた。

 アップセットを起こしたれいめいの沖田遼太郎監督は「(同点に追いつかれた)失点で崩れず、持ちこたえた。地方の学校が勝って行けることを嬉しく思う」と喜んだ。れいめいは、鹿児島市内から約50キロ北西にある薩摩川内市の学校。前身の川内実高時代を含めて県総体で優勝1度、準優勝6度を誇る古豪だが、16年ぶりの4強入りとなった。

 試合は、前半から鹿児島城西が押し込む展開で進んだ。しかし、れいめいは高い集中力で耐え凌ぎ、前半23分にタッチライン際で相手のプレーが一瞬緩むと、左FW上野和輝(2年)がボールをさらって縦へドリブル。単独カウンターで押し込むと、DF登録ながら前線で起用された濱田智也(3年)にラストパスが通り、濱田が冷静にシュートを決めて先制に成功した。

 れいめいは、本来は2トップだが、この日はカウンターシフトを採用。長身の濱田を最前線、スピードのある上野と渡邉翼(3年)を両翼に配置。ロングパスをターゲットかスペースへ出せば攻撃に移れるように用意したシンプルなスタイルが奏功した。その後も鹿児島城西が攻めたが、れいめいはリードを守って前半を終えた。

 鹿児島城西は、サイドを起点に攻めていたが、後半に入るとフィジカル能力の高いDF野口貴仁(3年)を最前線に投入。縦のロングパスからセカンドボールを拾って攻めるスタイルに変化し、迫力ある攻撃を展開した。

 セットプレーが激増し、後半15分に右サイドのFKでゴール前が混戦状態になり、バックパスを受けたMF崎野隼人(1年)がミドルシュートを決めて同点に追いついた。鹿児島城西は後半18分にもMF北條真汰(3年)が強烈なミドルシュートで相手GKの手を弾く好機があったが、クロスバーに嫌われた。

 試合は1-1のまま70分で決着がつかず、延長戦に突入。延長後半に3人を同時に代えたれいめいは、足を止めずに対抗し続け、終盤にはカウンターから濱田が完ぺきに抜け出したが、鹿児島城西はU-17日本代表候補で192cmの長身を誇るGKヒル袈依廉(2年)がビッグセーブでチームを救った。

 互いに譲らず、勝負はPK戦に持ち込まれた。鹿児島城西のGKヒルがいきなり2本連続でセーブを見せたが、れいめいのGK別府龍斗(2年)も2本目をストップ。すると、鹿児島城西は4人目が枠外、5人目がポストと終盤に連続してキッカーが失敗。れいめいは、5人目を務めた主将のDF宮元耀司(3年)がキックを成功させ、PK戦3-2での勝利を決め、歓喜に沸いた。

 宮元は「この景色が見られて嬉しい。カウンターは、狙っていた。みんなが集中して、声を出し合い続けた。PKは5番目で(決めれば勝つ状況で)緊張を通り越して、心の中で笑っていた。楽しんで蹴れた。この後も気持ちで守って、優勝を狙いたい」と会心の勝利を振り返った。

 一方、敗れた鹿児島城西は、北條が「相手が守って来るのは、分かっていた。泥臭くでも1点取ろうと話していたけど、先に取られて苦しくなってしまった。それでも後半、風上でチャンスもあったのに、決め切れなかった。九州大会は相手が奪いに来るので崩せる部分もあるけど、守る相手を崩せるようにならないといけない」と話したとおり、課題を突きつけられた。好守を見せたヒルも「惜しい、で終わってしまった。ワンプレーで決着するような試合だったので、本当に悔しい。失点場面は、味方の戻りが少し遅れて、延長後半にもピンチがあった。攻撃の時間がながいときのリスク管理をもっと安定させたい」と唇をかんだ。

 4強に進んだのは、れいめい、神村学園高、鹿児島情報高、出水中央高。優勝候補の最右翼と目された鹿児島城西が敗れたトーナメントを制するのは、どこか。翌24日に準決勝、25日に決勝戦が行われる。

(取材・文 平野貴也)
●【特設】高校総体2019

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