[6.15 インターハイ茨城県予選準決勝 水戸商高 2-1 鹿島高 ひたちなか市総合運動公園陸上競技場]

「自分でもびっくりしています」。ヒーローは控えめに自身の決勝点を喜んだ。水戸商高は1-1の後半20分、左サイドでボールを繋いでDFを引きつけると、内側に空いたスペースへ左SB加藤大星(3年)が潜り込む。背番号2のDFがそのまま中央まで持ち込んで右足を振り抜くと、ボールはポストを叩いてゴールラインを越えた。

　一番の武器は利き足の左足クロス。水戸商にはボランチとして入学し、SHも経験して新チーム発足時に左SBへコンバートされたDFは、自身の攻撃力については「そこまででもない」と自己分析する。

　だが、これでインターハイ予選は2試合連続ゴールだ。水戸工高との準々決勝でも左足でファインショットを決めて勝利に貢献。主将のCB大槻海偉(3年)が「このインターハイ、もっています」と讃える活躍を見せている。

　どちらかというと“意外な男”の2戦連発の活躍にチームメートたちも興奮気味。その反応を加藤も「嬉しいですね」と喜んでいる。そして、「自分ではあまり思わないですけれども、もしかしたら調子が良いかもしれない」と微笑。そのDFは、決勝でも自分の役割を果たしつつ、貪欲にゴールも狙っていく意気込みだ。

「サイド上がって、クロス上げてアシストをしながら、自分でも3戦連続狙って行きたいですね」と加藤。チームメートとともに「絶対に優勝して沖縄に行こうと言っていた」というインターハイ出場まであと1勝だ。今、最もノッている左SBが、決勝でも「何かを起こす」。

(取材・文　吉田太郎)

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