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後半に猛攻3発の広島、アウェーゴールに泣く…アジア王者鹿島は薄氷8強入り

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2得点を決めた鹿島アントラーズMF土居聖真

[6.25 ACL決勝T1回戦第2戦 広島3-2鹿島 広島広]

 AFCチャンピオンズリーグ(ACL)は25日、広島広域公園陸上競技場で決勝トーナメント1回戦第2戦を行い、サンフレッチェ広島鹿島アントラーズに3-2で勝利した。それでも第1戦との合計スコアが3-3となった中、前回王者の鹿島がアウェーゴールで上回って準々決勝に進出。10人で猛攻を見せ続けた広島はクラブ史上初の8強入りへわずかに届かなかった。

 18日に行われた第1戦ではホームの鹿島が1-0で勝利。2点差以上での勝利が望まれる広島は出場停止のMF稲垣祥に代わってDF荒木隼人が先発に入り、第1戦ではリベロ起用だったMF吉野恭平がボランチの位置に移った。またFW渡大生に代わってMF柴崎晃誠が起用された。

 引き分け以上に持ち込みたい鹿島は、第1戦で途中交代したDF安西幸輝が登録メンバーを外れた。MF白崎凌兵が控えに回り、新たにDF町田浩樹とMF名古新太郎を起用。町田は左サイドバック、名古は左サイドハーフに入り、いずれも本職ではないポジションを任された。[スタメン&布陣はコチラ]

 序盤は広島が敵陣に圧力をかけると、開始早々に鹿島をアクシデントが襲う。足を痛めたDFチョン・スンヒョンが担架で運び出され、前半4分に高卒ルーキーのDF関川郁万が投入された。なおも主導権を握った広島は同16分、MF森島司のFKにDF野上結貴が頭で合わせたが、GKクォン・スンテに阻まれた。

 その後は一方的に広島が主導権を握る時間帯が続いたが、わずかな精度不足で決定機をつくることができない。すると前半33分、劣勢の鹿島がスコアを動かした。MF川辺駿の縦パスを奪ってカウンターをしかけると、中盤からのパスを受けた名古が左サイドからクロスを配給。DF佐々木翔のクリアを拾ったMF土居聖真がハーフボレーで突き刺した。

 鹿島にとっては貴重なアウェーゴール。これにより延長戦に入る可能性はなくなり、広島は突破のためには3点を奪わなければならなくなった。そんな広島は前半42分、川辺が3列目から飛び出してゴール前に走り込んだが、浮かせたシュートはわずかにゴールラインを割らず、ここまで最大のビッグチャンスを活かせなかった。

 後がない広島はハーフタイム明け、MF清水航平に代わってFWパトリックを投入。フォーメーションを3-4-2-1から4-4-2に変更した。すると後半2分、左サイドをドリブルで切り裂いたMF森島司のクロスに柴崎がダイレクトボレーで合わせたが、シュートは相手ディフェンスに阻まれた。

 対する鹿島は後半5分、右サイドを攻め上がった土居の折り返しに名古が合わせるも大きく枠の外。同9分には名古が左サイドでドリブル突破を試みると、荒木に倒されてイエローカードを誘った。さらに同18分、MFレオ・シルバのヘディングパスに反応したFWセルジーニョがGK中林洋次との1対1を迎えたが、ループシュートは枠を外れた。

 すると後半21分、広島が追撃の1点を奪った。右サイドを攻め上がったMF柏好文がクロスを送り込むと、ゴール前で競り勝ったパトリックがヘディングシュート。これがDF犬飼智也に当たってネットを揺らし8強入りまであと2点とした。広島は同25分ごろにもクロスから立て続けに決定機を迎え、一気に勢いを取り戻した。

 そして広島は後半27分、FWドウグラス・ヴィエイラの突破からチャンスを迎えると、敵陣深くでパスをつないで一気に相手を押し込み、最後は佐々木が左足でシュート。これが相手ディフェンスに当たってゴールネットに吸い込まれ、さらに1点を重ねた。勢いに乗る広島はあと1点を奪えば逆転突破が決まる状況に持ち込んだ。

 ところが後半29分、広島はカウンターから土居の突破を許すと、ペナルティエリア外に飛び出してきた中林が倒してしまい、一発退場。吉野に代わってGK林卓人が投入され、10人で戦う形となった。それでも勢いを失わない広島は同35分、パトリックが関川にペナルティエリア内で後ろから倒されたが、主審はファウルの笛を吹かなかった。

 後半36分、広島は右サイドからのシュート性のクロスをパトリックがゴールに押し込み、ついに合計スコアで逆転したかと思われた。ところが、直前にファウルがあったとして得点は認められず。すると同44分、鹿島はカウンターから土居が無人のゴールにロングシュートを蹴り込み、試合を決定づける2点目を奪った。広島は同アディショナルタイムにパトリックがPKを決めたが、そのまま試合終了を迎え、アウェーゴールで上回られた1点が遠かった。

(取材・文 竹内達也)
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