beacon

抜群の攻撃力を東京決勝でも発揮!注目の國學院久我山が全試合2得点以上で公式戦15連勝、3冠達成!

このエントリーをはてなブックマークに追加

公式戦15連勝、3冠を達成した國學院久我山高

[6.23 インターハイ東京都予選決勝 大成高 0-2 國學院久我山高 駒沢2]

 國學院久我山が公式戦15連勝で3冠達成! 令和元年度全国高校総体(インターハイ)「感動は無限大 南部九州総体2019」サッカー競技(沖縄)東京都予選決勝が23日に行われ、大成高國學院久我山高が対戦。國學院久我山が2-0で勝ち、08年度以来10年ぶりの優勝を果たした。決勝を戦った両校は、東京都代表として7月26日開幕のインターハイに出場する。

 國學院久我山はこの日の勝利によって関東大会予選、関東大会に続いて3冠達成。東京都1部リーグも含めると、今年の公式戦15試合全勝だ。その15試合全てで2得点以上をマーク。エースFW山本航生(3年)が公式戦15戦連発という驚異的な得点力を発揮しているが、多彩なパスワーク、いずれも抜群の突破力を誇るFW戸坂隼人(3年)とFW山下貴之(3年)の両翼の仕掛け、セットプレーなど、どこからでも得点できる強さを発揮し続けている。

 前日の準決勝でともに東京予選突破を決定。決勝の前半、攻勢に出たのは、前日に初の全国出場を決めた大成の方だった。豊島裕介監督が「凄くボールコントロールだったり、はたくタイミングだったり、サポートが上手い(國學院久我山の)子たちをリスペクトした上であの戦術でした。どんなに上手い子でも慌てるし、前半は上手くボールを奪えてウチがカウンターできる状況でした」と語ったように、野心を持って決勝に臨んでいた大成は國學院久我山の2年生2シャドー・MF大窟陽平とMF田中琢人をマンマーク。前からアグレッシブな攻守で國學院久我山のリズムを狂わせた。

 國學院久我山は5分に右サイドから戸坂が仕掛け、中央に潜り込んだ山下がクロスバー直撃のシュート。7分にも山本航のパスから戸坂がシュートに持ち込むなど攻めるが、勢いのある大成の攻守を受けてしまい、ビルドアップなどで後手に回ってしまう。

 一方の大成は素早いカウンターが効果を発揮。相手DFラインの背後に落とすボールの精度が高く、左SB金井陸人(2年)やFW平川優大(3年)がチャンスを迎える。また平川とのコンビネーションからMF大石勇冴(3年)がゴール前に潜り込むシーンもあった。

 試合は28分、セットプレーの攻防で國學院久我山の守備の柱・CB保野友裕(3年)が負傷するアクシデント。治療、搬送のため、試合はここで約30分間中断する。そして、救急車両に運ばれる保野を國學院久我山、大成両校の応援団が「サンキュー、保野!」のコールで送り出す。この後、両校のピッチ内でのウォーミングアップを経て、試合は再開した。

 両校にとって精神的にも難しい状況下でのプレー。大成は前半終了間際にインターセプトした平川が抜け出すが、國學院久我山はカバーしたCB加納直樹(3年)がタックルでクリアして得点を許さない。そして後半、「前半は緊張感が足りなかったかなと思います」という清水恭孝監督から「気持ちをちゃんとつくろう」と声がけされた國學院久我山が立ち上がりに先制点を奪う。

 3分、GK村上健(2年)がボールを交代出場CB野田祐成(3年)へ繋ぐ。右SB河原大輔(3年)が開いてできたスペースへ下りた戸坂に野田が縦パス。そこからMF福井寿俊(3年)、山本航とボールを動かし、田中が左サイドの山下へとはたく。これを受けた山下が縦へ持ち込んで左足を振り抜くと、GKが弾いたボールを田中が右足ダイレクトで押し込み、スコアを動かした。

 素晴らしいパスワークで先制した國學院久我山はこの後も、左SB山本献(3年)と山下が絡んでの崩しや戸坂のドリブルシュート、大窟のスルーパスなど多彩な攻撃で大成ゴールを攻め立てる。大成は1年生GKバーンズ・アントニやCB金井渉(3年)、CB佐藤イライジャ(3年)中心に1点差を継続し、MF内田康平(3年)の中央突破などから反撃。クロスに持ち込むシーンもあったが、相手ゴールを脅かすことができない。

 逆に國學院久我山は24分、自陣でのインターセプトからボールを繋ぎ、田中が左サイドの山下へ展開。山下が一度ボールを失いかけながらも奪い返してクロスを上げると、中央で待ち構えていた山本航が頭で合わせて公式戦15試合連続ゴールを記録した。

 大成は怪我の影響でベンチスタートだったMF宮脇茂夫(3年)を投入。攻撃のリズムが向上し、MF片原崇也(2年)が決定機を迎える。だが、GK村上のファインセーブや加納の好守に阻まれて得点することができず。終盤も貪欲に3点目を狙った國學院久我山が2-0で勝利した。

 前日の準決勝で、國學院久我山は駒澤大高のプレッシングに対し、トライする姿勢を欠いた部分があったという。この日の前半も受け身になってしまった部分もあった。それでも、後半は前日や前半の課題を改善し、再び2得点を奪って快勝。山本航は「チームの攻撃力が高くてたくさん点が取れているから自分もこうやってゴール記録を続けることができているし、チームとして攻撃のところに自信を持ってできていると思います」と手応えを口にし、加納は守備陣のレベルアップを誓う一方で「(攻撃陣は)本当に頼もしいです。自分たちがゼロに抑えようとしていてもまだ1点2点取られてしまう試合がある。でも、攻撃陣に3点4点取ってもらっている」と感謝した。

 特に攻撃力に関しては全国でもトップクラスだろう。清水監督は「昨日の4点もそうですし、きょうの2点も過程が良かったと思っているので、そういった意味では自分たちの形を作ってこれている」と語り、その形が全国でも通用するのか、また通用しなかった時にどう攻略するか注目する。チームが掲げている目標は日本一。山本航は「いい流れで来ているので、勝ち続けるということも強いチームになるためには必要だと思う。このまま全国インターハイに入って、優勝目指していきたい」。インターハイ前に3試合が組まれているリーグ戦でも連勝、ゴール記録を続けて沖縄で「強くて上手い」東京王者が初の日本一に挑戦する。

(取材・文 吉田太郎)
●【特設】高校総体2019

TOP