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[MOM621]びわこ成蹊スポーツ大GK田中勘太(4年)_J1特指経験の守護神、PKストップで創部初の決勝へ

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びわこ成蹊スポーツ大GK田中勘太(4年)

[大学サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[6.26 第48回関西学生選手権大会準決勝 大阪体育大1-1(PK3-4)びわこ成蹊スポーツ大 ヤンマーフィールド長居]

 両チーム譲らず、延長でも決着がつかなかった熱戦は、PK戦へ。先攻の大阪体育大5人目のキックをびわこ成蹊スポーツ大GK田中勘太(4年=仙台ユース)が右に飛んで見事にストップすると、びわこ大はDF上林聖矢(4年=草津東高)が落ち着いてゴールに沈め、創部以来、初となる関西選手権決勝への進出を決めた。

 ユニバーシアード女子代表の合宿へと向かった望月聡監督にチームを託された石間寛人コーチは、ホッとした表情を浮かべ「パワーもバランスも向こうの方が上なので、奪ってつなぐことを徹底して試合に臨んだ。いつもよりも冷静に試合に入れたし、押し込まれる展開は選手も慣れているので、うちの流れだと思っていた」と話す。

 大体大に決定的なシュートを打たれる場面もあったが、田中のセーブがチームを勇気づけた。PKを与えて同点を許してしまったものの、そのほかの場面では「自分がセーブしなくては失点してしまう場面が来るだろうことは予想していたし、その状況でもじれずに行こうと思っていた」との言葉どおりに大体大に立ちふさがった。クロスボールをキャッチして流れを切ることで、相手に二次攻撃を許さなかった。

 入学した直後は、ベガルタ仙台の特別指定選手としてJ1リーグのベンチ入りも経験したが、大学ではトップチームの試合に関われず、悔しい思いも味わった。練習に打ち込む中、自らに足りない部分を先輩である岡田慎司(現・FC今治)から学んだ。「岡田くんは試合の中でいい声をかけられる。後ろ向きではなく、ポジティブな言葉でみんなを盛り立てることができる。自分も、フィールドが心折れるような場面があっても、そこで踏みとどまれるような声を出そう」と意識し、仲間の信頼を獲得していった。石間コーチも「以前はそんなに声を出して周りを盛り上げるタイプではなかったけれど、今年になって声で周りを引っ張れるようになり、守備面でリーダーシップを取れるようになった」と精神的な面での成長を喜ぶ。

 びわこ大へは、ユースでは経験できなかった速いサッカーに惹かれて、進路を決めた。この日は遠く仙台から家族も応援に訪れており、「見に来てくれた時に、いつも活躍できていなかったので、今日はやっといいところを見せられてうれしい」と笑顔で話す。2年前に関西学生リーグで優勝したときは、自分の力をチームのために出しきれなかった。決勝では、「安定感をもたらすようなプレーで支える」と意気込む守護神は、仲間へ、家族へ勝利を届ける。

(取材・文 蟹江恭代)
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