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「強い相手に目を覚まさせてもらえた」。3か月半後のU-17W杯で激戦ブロックに入ったU-17日本代表、メキシコに逆転負け

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後半34分、U-17日本代表FW唐山翔自(G大阪ユース)が右足シュートを狙う

[7.13 国際ユースin新潟第1節 U-17メキシコ代表 2-1 U-17日本代表 スポアイランド聖籠]

 U-17日本代表、メキシコに逆転負け――。U-17日本代表とU-17メキシコ代表、U-17ボスニア・ヘルツェゴビナ代表、そしてU-17新潟選抜が優勝を争う第23回国際ユースサッカーin新潟が13日に開幕。U-17メキシコ代表と対戦したU-17日本代表は、FW杉浦力斗(興國高)のゴールで先制したものの、1-2で逆転負けした。U-17日本代表は14日の第2節でU-17ボスニア・ヘルツェゴビナ代表と戦う。

 今月11日、アジア王者として迎えるU-17ワールドカップ(10月26日開幕、ブラジル)の対戦相手が欧州王者のオランダ、アメリカ、そしてセネガルに決定。U-17日本代表の森山佳郎監督は「オランダは多分今回ナンバー1。アメリカもメキシコに勝てなかったけれど圧倒していたし、メキシコよりも上だと思う。そして、セネガルは前回、何も出来なかった相手」といずれも強敵であることを認める。

 激戦区に組み込まれた日本。ただし、チームは前向きだ。MF横川旦陽(湘南U-18)は「かなり強いと思うんですけれども、そこで勝ち上がって行ければ相当自信を持って決勝トーナメントを迎えられると思うので、自分にとっても、チームにとっても、日本にとっても良い経験になる3チームになると思います」と歓迎。強豪ぞろいのリーグを突破、世界で勝ち上がるために、より一層の質、勢いを求めるだけだ。

 ただし、この日は北中米王者としてU-17ワールドカップに出場するメキシコに逆転負けを喫した。4-4-2システムを組んだ日本の先発は、GKがゲーム主将の野澤大志ブランドン(FC東京U-18)で、4バックは右SB畑大雅(市立船橋高)、CB鈴木海音(磐田U-18)、CB半田陸(山形ユース)、左SB藤田譲瑠チマ(東京Vユース)。中盤は横川と成岡輝瑠(清水ユース)のダブルボランチで、右MF三戸舜介(JFAアカデミー福島U-18)、左MF相良竜之介(鳥栖U-18)、そして2トップは唐山翔自(G大阪ユース)と杉浦がコンビを組んだ。

 立ち上がりからアグレッシブに試合に入るのが日本の特長の一つ。3分に右サイドから切れ込んだ杉浦が左足シュートを打ち込めば、9分には自陣からテンポよくボールを繋ぎ、左サイドでDFを振り切った相良のラストパスがゴール前に入る。

 日本はいずれも国際大会での経験豊富な横川と成岡のダブルボランチが奪い返しの部分や、攻撃で相手の逆を取る部分などでも存在感。また、初代表の藤田が相手のカウンターを一人で止めて見せるなど攻守で持ち味を発揮する。日本は鈴木、半田を含めたDFラインから丁寧にボールを動かし、選手間で要求する声もよく出ていた。

 迎えた21分、日本は自陣で素早くボールを奪い返すと、半田から横川を経由して前線の唐山へ。そして、縦へ持ち込んだ唐山がミドルレンジから強烈な右足シュートを打ち込む。強烈な一撃はゴールマウスに弾かれたが、跳ね返りがフリーの杉浦の下へ。これを杉浦が頭でゴールへ沈めて1-0とした。

 だが27分、日本はビルドアップでミスが生まれてしまい、GK野澤がFWセーサル・マタ・トーレス(ネカクサ)に詰められる形で失点。再び勝ち越し点を目指した日本は、29分に鈴木からのパスを受けた畑が縦へ持ち込んでクロスを上げる。さらに35分には前を向いてインターセプトした三戸が唐山とのコンビから抜け出したが、シュートは枠左へと外れた。

 相手の俊足MFジャイル・ゴンサレス(サントス)にサイドを突破されるシーンもあったが、日本は半田の好守などで勝ち越し点を許さず。逆に切り替えの速さと素早いパス交換、また三戸の抜け出しや唐山の鋭い突破などによって決定機を作った。だが、最後の局面で判断が悪いシーンが続いてチャンスを活かすことができない。

 後半7分には藤田のスルーパスから三戸が決定的なシュート。日本は後半16分、杉浦と相良に代えてFW武内翠寿(名古屋U-18)とMF中野瑠馬(京都U-18)を同時投入する。だが、終盤に向かうにつれてビルドアップで苦戦。相手の圧力の強い守備に対して同サイドでの攻撃が多かった日本は、崩しに入る前のパスを引っ掛けられてしまうなど、チャンスの数を増やすことができない。なかなか中盤から前に運べず、相手DF背後へのボールも合わなかった。ミスでボールを失った日本は、メキシコにスペースを突かれ、クロスなどからシュートシーンを作られてしまう。

 189cmのFWテウン・ウイルケ・ブラアムス(ヘーレンフェーン)を投入して高さを加えたメキシコと、サイド攻撃から勝ち越しゴールを目指す日本。40分、日本は中野瑠に代えてMF中野桂太(京都U-18)を投入したが、オープンな展開の中で次の1点を奪ったのはメキシコの方だった。

 44分、メキシコは左CKが流れたものの、右サイドからクロス。これをニアのブラームスが豪快に頭で決めた。日本もアディショナルタイムに右スローインから横川が強引に突破してクロスへ持ち込んだが、これも弾き返されるなど1-2で試合終了。悔しい敗戦となった。

 森山監督は「もうちょっと(ボールを)持てるはずだったのが、ウチはミスして相手にペースを与えた。ここのところ、苦しんで『これじゃあ、まだまだだな』ということを認識する機会がなかった。(U-17ワールドカップ)直前になって質を上げなければいけないなというところで強い相手に目を覚まさせてもらえた」とコメント。世界での戦いが甘くないということを再確認する試合だった。

 また、森山監督は選手たちへ向けて「(世界相手に)やれるのか、やれないのか問われる。アジアレベルなのか、国内レベルなのか。テクニックもそうだし、判断スピードとか持っていないと。見えているものが多くないと慌てちゃったり、精度がなくなっていた」と指摘。代表候補の数人が不在の中でチャンスを得た選手もいるが、コアメンバーを含めて世界を基準に何ができるかを求められている。この日はその質の部分でも物足りなさの残るゲームに。ワールドカップまであと3か月半、メキシコとの一戦で「目を覚ましてもらった」日本は結果を受け止めて、高い基準で質と結果を求める。

(取材・文 吉田太郎)

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