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[CPサッカーW杯]日本代表は大野が勝利を決める3点目を決め、過去最高タイの13位に

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ゴールを決めて喜ぶ日本代表の選手たち(提供:日本CPサッカー協会)

【CPサッカーワールドカップ】(スペイン・セビリア)
[順位決定戦 日本代表 3-2 タイ代表]
得点者
[日本代表]
浦辰大(前半15分)
久保善暉(前半19分)
大野僚久(後半9分)

[タイ代表]
Narongchai Thaohong(後半5分)
Bannasak Nuepho(後半11分)

出場メンバー
[日本代表]
GK1柳英行
FP2浦辰大
FP4大澤翔太郎(→本中野雅→赤禿賢一郎→谷口泰成)
FP6大野僚久
FP7戸田哲也
FP8三浦良介
FP13久保善暉
※番号は背番号

脳に障がいがある人がプレーする7人制サッカー、CPサッカーのワールドカップ(W杯)の順位決定戦で日本代表は現地時間18日、タイ代表と対戦。前半9分に主将の浦辰大が先制ゴールを奪い、さらに4分後にも久保善暉が続いた。その後、タイの攻撃も想像以上で後半に2本決められ、主導権を握り続けることはできなかったが、2-1の後半9分、大野僚久のW杯初ゴールが結果的に決勝点となった。大野が振り返る。

「過去最高順位の更新はなりませんでしたが、過去最高順位と並ぶ13位という成績を残すことができました。チーム一丸となり各々が必ず『勝利をする』という目標があったからこそ、この結果になったと思います。個人的にも今大会がW杯での初得点をすることが出来ましたし、自信にも繋がりました」

 CPサッカーは障がいのタイプや程度により3クラスに分けられ、FT1(麻痺がはっきりしていて障がいが思い)、FT2(体の片側が麻痺した状態)、FT3(軽度な麻痺)と3段階に分けられ、FT1の選手は必ず1人は起用しないといけない。大野はW杯直前に行われた診断でGK柳英行とともにFT1と診断された。

 大野は先天的な脳動静脈奇形により高校時代に突然倒れて、それまで夢見ていたフットサルの選手になることを当分の間、封印。約3年前にCPサッカ―をはじめた。懸命のリハビリの甲斐もあって、右半身の麻痺も少しずつ改善されてきた大野は、サッカー以外に陸上競技にも挑戦。5月6日に横浜市内で障がい児、者むけyのスポーツ大会「ハマピック」で50m、1500m走で優勝した。「他の競技にも挑もうとするチャレンジ精神を示して、同じ境遇の方にも勇気を与えられれば」という気持ちからだった。CPサッカーの世界で活躍して、いつかフットサルの選手にもなりたい、という思いは胸に秘めている。その熱い気持ちが大舞台の勝負どころで花開いた。

 荒田雅人監督も2011年のオランダ大会に並ぶ13位と過去最高順位に並び、胸をなでおろした。

「課題であったボール保持が今まで以上に精度があがり、数的優位を作ってゴールを奪うことが出来ました。何よりも選手が痛み止めを飲みながら戦ってくれたこと、足を引きずりながらハードワークしてくれたことに感謝しています。過去最高順位に並べた結果、W杯で2勝できたたのも選手はもちろん、CPサッカーに関わる全ての方々のお陰です」

 昨年、この大会への出場をかけた予選への出場を回避し、現場と協会側に温度差が生じたが、荒田監督に決断により他国の出場回避によって巡ってきた世界の舞台で選手と一緒に歯を食いしばり、日本代表で戦うことの誇りを取り戻すきっかけになったはずだ。

「より世界トップレベルの選手と対等に戦える選手になります」

 試合後、大野が明かしたように、選手それぞれが戦わなければ得られない「お土産」を抱えて、日本に帰ってくる。
  
【2019年 スペインW杯日本代表】
GK二宮一太(エスペランサ)
GK柳英行(CP KOBE)★
FP赤禿賢一郎(エスペランサ)※
FP浦辰大(エスペランサ)★
FP河野凌久(エスペランサ)※
FP谷口泰成(エスペランサ)★
FP本中野雅(エスペランサ)※
FP堀井友哉(大坂PAZ)
FP久保善暉(P.C.F.A.SALTAR)
FP三浦良介(P.C.F.A.SALTAR)★
FP大野僚久(横浜 BAY FC) ★
FP戸田哲也(横浜 BAY FC) ★
FP大沢翔太郎(P.C.F.A.SALTAR)★
【注】★は2017年アルゼンチンW杯に出場した選手。※は代表初選出

【大会スケジュール】
7月8日 ●0-5 ブラジル
7月11日●0-6 イングランド戦
7月12日●2-3 ドイツ戦
7月14日●0-3アイルランド戦
7月16日〇2-1スペイン戦
7月18日〇3-2タイ戦
【注】試合開始時刻は日本時間。変更の可能性あり

(取材協力 日本CPサッカー協会)

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