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[MOM624]拓殖大MF小宮嶺(4年)_37年ぶり全国へ導く直接FK弾

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拓殖大のMF小宮嶺

[大学サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[7.21 アミノバイタル杯7・8位決定戦 中央大0-1拓殖大 AGF]

 常にヒーローになることを思い描きながらプレーしているという。MF小宮嶺(4年=静岡学園高)は後半33分、鮮やかに直接FKを蹴り込んで拓殖大を37年ぶりとなる総理大臣杯出場へと導いてみせた。

 前日練習で玉井朗監督からあるアドバイスを受けていた。「FKの時、相手GK(飯吉将通(4年=新潟西高))はニアに動く」。小宮がモーションを入れると、言葉通りにニアに一歩動くのが見えた。そこからは自信を持ってファーサイドに蹴るだけだった。「ここで決めてヒーローになろうと思いました」。

 普段は関東2部。同1部に比べれば注目度は低い。Jスカウトの目にも届きにくい現実がある。そのため同1部と対戦する機会がある今大会は、アピールに燃えていた。しかし得点は決めていたが途中出場が多く、さらに準々決勝、順位決定戦と総理大臣杯出場の2度のチャンスをものに出来なかったことで不甲斐なさがあったという。

「絶対に自分が勝たせてやろうと思っていた。戦術もうまくかみ合わずにここまで来てしまったので申し訳なかった。だから絶対に決めてやろうと思っていました」

 静岡学園高では東京オリンピック日本代表候補で順天堂大のFW旗手怜央と同級生。「あいつも努力家ですが、自分も負けずにやっていると自信を持って言える」と、今でも刺激し合える関係性でいる。

 プロスカウトへのアピールとなる総理大臣杯への出場は小宮にとっても大きな目標だったが、組み合わせを見て“運命”を感じたという。この日の勝者である関東第7代表は、1回戦で北海道第2代表の北海学園大と対戦。そこに勝利すれば、関西第2代表の関西大と対戦することになる。

 その関西大に在籍するDF荒井大は、静岡学園高時代の同級生。寮では同部屋で、「一番仲がいい」という間柄だ。この日の試合前には「絶対に勝ってやろう」と連絡を取り合っていたという。「一回戦に勝たないとまだできないけど、楽しみ。2回戦で当たれるのは運命だと思っています」。

 2回戦で関東1部の桐蔭横浜大を破ってベスト8に進出。その後、立正大、法政大に苦杯をなめたが、3度目の正直で全国行きのチケットをもぎ取った。目指すはもちろん「優勝」。「そこは目指してやらないと、やるからには絶対に目指したい」。一人ひとりの我が強く、負けず嫌いが多いという今季の拓殖大。OBの日本代表FW小林悠が在籍した時も立てなかった全国の舞台で、オレンジ軍団が台風の目になる。

(取材・文 児玉幸洋)
●第93回関東大学L特集

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