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[MOM2940]鳥栖U-18 FW秀島悠太(3年)_「守備に課題」でサブ降格。スタンドに捧げた決勝ミドル弾

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サガン鳥栖U-18FW秀島悠太(3年、背番号9)

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[7.29 日本クラブユース選手権U-18大会準決勝 鳥栖U-18 2-1 横浜FMユース 味フィ西]

 待望の今大会初ゴールはクラブ史上初の全国ファイナルを導く決勝弾だった。後半23分、ミドルレンジから豪快なカットインシュートを突き刺したサガン鳥栖U-18のFW秀島悠太(3年)は「ゴールを決める以外のところは何もできなかったけど、決めることが自分の仕事だと思っていた。ずっと狙っていました」と、はにかみながら話した。

「カットインからどんどんシュートを狙っていけ」——。田中智宗監督からのミッションを受け取り、ピッチに送り出されたのは後半15分。するとわずか8分後、まさに指示どおりの形でネットを射抜いた。「あそこをフリーにさせてもらったら振り抜くだけ。右足は自信があるので振り抜けて良かった」。持ち味のシュート力が全国の舞台で輝きを放った。

 昨季の高円宮杯プリンスリーグ九州で2年生ながら得点王に輝き、今季のリーグ戦でも9勝1分の好調を牽引してきた点取り屋。ところが、今大会では立場が変わっていた。ここまで6試合で先発したのはわずか2試合。GL第1節・水戸ユース戦でハーフタイムに交代させられたのを皮切りに、大幅にメンバーを入れ替えたGL第3節・横浜FMユース戦を除いては、後半途中からのジョーカー起用が続いていたのだ。

 秀島自身、その理由は分かっている。「自分は守備に課題がある。1試合目は先発したのに自分のところで守備でハメに行くことができなかったので、前半に交代することになった」。一方、代わりにピッチに立ったFW田中禅(2年)が前線からのプレッシャーをしっかりこなしていたため、序列はそのまま固定された。

 もっとも、サブ起用を受け入れた秀島は新たな持ち場も見出した。「途中から(の出場)が多かったけど、途中から流れを変えることは自分にできると思っていた。チームの中のキャラ的にも、自分はそんな感じでみんなを盛り上げるキャラ。この大会に限ってはチームを盛り上げて、勝利に貢献するというイメージを持ってきた」。そうして臨んだ準決勝、ようやく結果を残したことで自らの存在価値を示した。

 また、待望の初ゴールはピッチ外にも歓喜をもたらした。この日は自身の母親や、鳥栖U-18出身のMF森山真伍(法政大2年)、DF平瀬大(早稲田大1年)、MF兵働透生(東洋大1年)、DF林幸多郎(明治大1年)らがメインスタンドで観戦。ゴールを決めた直後には真っ先に向かい、「決めた時は行こうと思っていた。熊本からはるばる来てくれたお母さんにも喜びを伝えたいとずっと思っていた」と照れ笑いを見せた。

 そうした秀島の活躍には田中監督からも賞賛の言葉。「この大会は80分をトータルで考えてコーディネートしないといけないと思っていた。この暑さもあるし、サブとスタートではなく、出た選手がしっかりやろうと言っていた。そういう意味でよくやってくれた」。難しい役割を担ったスーパーサブが結果を出し、初めて辿り着いた全国初ファイナル。31日の決勝戦でも背番号9にかかる期待は大きい。

(取材・文 竹内達也)
●第43回日本クラブユースサッカー選手権(U-18)大会

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