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[和倉ユース大会]柱欠く中でも強さ発揮。前橋育英が浜松開誠館をPK戦で破り、参加48チームの頂点に !

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前橋育英高が和倉ユース大会の頂点に

[8.10 和倉ユース大会決勝 前橋育英高 1-1(PK4-3)浜松開誠館高 城山陸上競技場]

 前橋育英が石川の夏を制す! ユース年代の選手育成を最大の目的に、指導者相互の親睦と交流を促進するとともに、日本サッカーの発展に寄与することを目的とした「第32回石川県ユースサッカーフェスティバル」が7月22日から8月20日までの1か月間かけて開催されている。

 大会期間中には計9大会(出場総数316チーム)が開催され、計230のクラブ・高校が参加。そのトップトーナメントである「第7回和倉ユースサッカー大会」は10日午後、決勝戦を行った。前橋育英高(群馬)と浜松開誠館高(静岡)の高体連対決となった決勝は、1-1で突入したPK戦の末、前橋育英が4-3で勝利。プレミアリーグ勢や夏の全国大会の上位チームなど参加48チームの頂点に立った。

 前橋育英は神戸U-18、東海大福岡高、そして星稜高とのグループリーグを2勝1分の2位で突破。トーナメントではFC東京U-18、浦和ユース、矢板中央高と強敵を連破して決勝に駒を進めてきた。グループリーグで大黒柱のMF渡邉綾平主将(3年)が負傷したのに加え、この日は副主将の右SB山田涼太(3年)とインターハイ後に台頭してきた大型CB関礼恩(3年)が不在。4-4-2システムのGKは高橋怜士(3年)でDFラインは右SB大野篤生(2年)、CB松岡迅(3年)、CB相原大輝(3年)、左SB並木歩己(3年)。中盤はU-17日本代表候補MF櫻井辰徳(2年)と栗原諒(3年)で右MF熊倉弘達(2年)、左MF倉俣健(3年)、前線には山岸楓樹(3年)と中村草太(2年)が並んだ。

 一方の浜松開誠館は仙台ユース、桐蔭学園高、浦和東高とのグループリーグを2勝1分で首位通過。トーナメントでは米子北高と作陽高に競り勝つと、この日午前の準決勝では神戸U-18を1-0で破って決勝に駒を進めてきた。国体予選出場中のU-16日本代表候補MF熊取谷一星(2年)を欠いているものの、前線から圧力を掛け続けて神戸U-18を破るなど堂々の戦いぶり。4-5-1システムのGKは注目の菅沼一晃(3年)で4バックは右SB岡部直弥(2年)、CB吉田真那斗(3年)、CB北島伊織(3年)、左SB大久保夏樹(3年)。中盤の底の位置に平井登威(3年)と加藤大晟(2年)が入り、右MF廣渡優太(3年)、左MF壽山和也(3年)、前線はシャドーの青島浩輝(3年)と野本侑(3年)がコンビを組んだ。

 試合は前橋育英がボールを握って攻めようとするが、浜松開誠館もプレッシングから奪ったボールを簡単には渡さずに対抗してみせる。特に準決勝で決勝点の壽山が推進力のある動き。また、左利きのMF廣渡らがボールに絡み、中盤から飛び出す加藤のシュートなどで先制点を狙った。

 一方の前橋育英は、櫻井や栗原を中心とした正確なパスワークから、倉俣の仕掛けやSB大野のフィニッシュ、中村の抜け出しなどで相手ゴールに迫る。そして24分、左サイドからプレースキックのスペシャスト、櫻井が右足でFKを蹴り込むと、ニアに飛び込んだ相原が頭で決めて1-0とした。

 浜松開誠館は後半開始から守備的なボランチ・平井に代えて攻撃型のMF小林駆(2年)を投入。前半の縦に速い攻撃から打って変わり、正確なビルドアップで相手の守りを剥がして前進していく。対する前橋育英もボールを支配して押し返すと、相原のサイドチェンジや山岸の仕掛け。熊倉弘達をMF西山蓮平(3年)へ代えた直後の8分には、櫻井の左CKから大野がクロスバー直撃のヘディングシュートを放った。

 相原と松岡が高さと強さを発揮するなど1-0のまま試合を進める前橋育英は、櫻井の右足ミドルなどで追加点を狙うが、浜松開誠館のGK菅沼、存在感十分のCB吉田、長身CB北島を中心とした守備陣は強固。その浜松開誠館は14分にFW山口大翔(1年)とMF木村海飛(2年)を同時投入すると15分、この日幾度かダイナミックな攻め上がりを見せていたCB吉田のパスから廣渡が左足シュートを左隅に決めて同点に追いついた。

 前橋育英は中盤、前線での競り合いでの物足りなさもあったほか、山岸のスルーパスで抜け出した中村のシュートがわずかにゴール右へ外れるなど決定力不足も課題に。同時投入された國分健助(3年)と我妻岳(3年)で作り出した決定機も活かせず、決勝戦の決着はPK戦に委ねられた。

 前橋育英はGK高橋が相手の1人目をストップ。2人目のシュートがクロスバーを叩いてしまったものの、櫻井、栗原、西山、我妻が決め、最後は浜松開誠館の5人目が外して優勝を勝ち取った。

 前橋育英はチームの柱である渡邉、山田を欠く中で優勝。相原は「あの2人がいなくても勝てることを証明できた。この大事な2人が怪我してもチームの力が落ちないので良いと思います」と胸を張る。

 インターハイは0-2で青森山田高に敗れた前橋育英だが、今大会は渡邉と櫻井を2シャドー、大野を1ボランチに配置する新システムが機能し、山田耕介監督も「綾平と櫻井は決定的なラストパスやミドルシュートがある。結構、面白かった」と評価。絶対的なフィニッシャーの不在を補う形ができつつあり、またともに185cm以上の高さを持つ関と松岡がCBに入ることでセットプレーからのゴールも期待できそうだ。山田監督はこの後、11人が国体予選に参加している下級生もチェックし、プリンスリーグや選手権予選に向かう考えだ。

 和倉ユース大会のMVPに選出された松岡は今後の目標について、「プリンスも勝って、プレミア昇格と選手権で全国大会優勝することです」ときっぱり。石川での4日間で新たな可能性と層の厚さも示した前橋育英が秋、冬に目標を達成する。

(取材・文 吉田太郎)

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