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[クラブユース選手権U-15]悪コンディション、先制される展開も下向かずに乗り越えた鳥栖U-15が2年ぶりに決勝進出!

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雨中の激闘をサガン鳥栖U-15が制した

[8.23 日本クラブユース選手権(U-15)準決勝 鳥栖U-15 2-1 FC東京U-15むさし 帯広の森球技場A]

 23日、第34回日本クラブユース選手権(U-15)大会の準決勝が北海道帯広市で開催された。前々年度の王者であるサガン鳥栖U-15FC東京U-15むさしの一戦は、雨中の激闘の末、鳥栖が2-1で逆転勝利。鳥栖は2年ぶりとなる決勝でセレッソ大阪U-15と戦う。

 気温16.3℃と夏の暑さを気にする必要のない環境だった一方で、雨も降りしきる環境で、連戦の中でピッチ状態も悪化しており、至る所に水たまりができているコンディションだった。「このピッチの中でどうプレーするのか」(鳥栖U-15・森惠佑監督)のは、この試合における大きなキーポイントだった。

「本来目指している主導権を握るサッカーは難しい。理想とちょっと違うところも考えながら、現実的にプレーする必要があった」(森監督)

 そう判断していた鳥栖は、バックパスを交えて攻撃を作り直す、サイドを変えていくといったプレーは控え目にしつつ、前へとボールを前進させることを意識。その上で「サイドのスポットは普段通りのプレーができたりもするので、そこを上手く使うように」という指揮官の指示を受けて、共にU-15日本代表候補にも選ばれている、FW鬼木健太浦十藏の両翼を積極的に使いながらFC東京むさしの陣内へ攻め入った。

 開始早々にロングスローのこぼれ球からU-15日本代表MF楢原慶輝が決定的なシュートを放つなど鳥栖がペースを握る展開になったが、FC東京むさしも主将のU-15日本代表候補DF土肥幹太らが粘り強く対応。土肥が「大会を通じて成長できた」と語るチーム一丸となっての守りで得点は許さない。前線のU-15日本代表FW熊田直紀らが積極的にゴールも狙い、逆にペースを握る時間帯も作った。

 やや鳥栖優位の流れのまま迎えた後半13分だった。スローインから、FW俵積田晃太、熊田、そしてMF馬場悠生が競り合ってこぼれたボールを、最後はFW田口輝一が抜け目なく右足で押し込む。泥臭いゴールでFC東京むさしが1点を先行した。

 これで試合の流れはFC東京むさしに傾くかと思われたが、「負けていても下を向かない、難しい顔をしないでプレーすることを考えていた」とFW乗冨璃弥哉が振り返ったように、鳥栖側の士気は落ちなかった。そして後半19分には決定的なプレーから試合の流れを引き戻す。ゴールからやや遠い位置で得たFKをMF北野真平が鮮やかにファーサイドへ蹴り込んでみせた。1-1。スコアは振り出しだが、こうなると勢いは鳥栖だった。

「同点に追い付いてからは相手を観てサッカーをすることがしっかりできていた」と森監督が言うように、ここからは鳥栖の流れに。危険な位置へボールを運び続けてFC東京むさしを脅かすと、試合終了間際の後半39分だった。楢原が左から上げたボールを北野が頭で合わせる逆転ゴールが突き刺さり、これが決勝点に。鳥栖が劇的な形で雨中の熱闘を制し、2年ぶりの決勝へと駒を進めた。

 惜しくも敗れたFC東京むさしの北慎監督は「いい時間帯もあったが、全体としては力不足も感じた。ただ、選手たちがいま出せる力は出し切ってくれた大会だったと思う。この悔しさを今後の成長に繋げたい」と総括。一方、勝った鳥栖の森監督は「試合終盤に向けてのハードワークはどこにも負けないところを出せた」と選手の粘りを讃えつつ、「決勝では本来のサッカーを観せられれば」と意気込んだ。

(取材・文 川端暁彦)
●第34回日本クラブユースサッカー選手権(U-15)大会

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