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悪環境に負けず先制アシストも…冷静な冨安「翔哉くんの個人技だったので」

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先制点をアシストした日本代表DF冨安健洋(ボローニャ)

[9.10 W杯アジア2次予選 日本2-0ミャンマー ヤンゴン]

 先制アシストという活躍にも手応えはいまひとつ。先制ゴールの場面でMF中島翔哉(ポルト)に鋭いパスを通した日本代表DF冨安健洋(ボローニャ)は「僕は拾って翔哉くんに預けて、そこからは翔哉くんの個人技だったので」とあくまでも冷静に振り返った。

 この日の冨安にとって、縦への展開は優先すべき選択肢ではなかったという。「今日みたいな相手は無理に入れようとしても狙っていたりするし、僕以外のところから今日は入っていたので、シンプルに動かしながら他の人に入れてもらうという感覚を持ちながらやっていた」と意図を語る。

 それだけに先制点の場面は出色だった。ぬかるんだピッチの上でもボールの軌道がゆるむことはなく、「預けた」というには鋭いボールが中島の足元にピタリ。中島のカットインシュートはたしかに高いクオリティーを示すものだったが、相手が中島に寄せ切れなかった要因には冨安のパススピードがあったと言える。

 もっとも長足の進歩を遂げている20歳のCBにとって、このプレーはそれほど褒められるべきものではなかったようだ。「あそこはただ律(MF堂安律)とサコくん(FW大迫勇也)が取って、僕が拾って翔哉くんに預けて、そこからは翔哉くんの個人技だったので」。あくまでも中島のシュートを称えるだけだった。

 無失点に終えた試合を振り返っても、チームに関しては「大きなアクシデントもなく、ゼロで終えられたことが良かった」と述べつつ、自身のプレーに話を向ければ「まだまだやれることはある」と満足した様子は見せない。

 それどころか、アジアの環境にも「応援の仕方、スタジアムの雰囲気はヨーロッパとか日本とは違う。慣れていく必要がある」と向き合い、長距離移動にも「体も心も休めていかないといけない。代表選手としてやるべきことをしっかりやっていく」と意欲。こうした謙虚で前向きな姿勢が20歳の進化を支えているようだ。

(取材・文 竹内達也)
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