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[NB CHAMPIONSHIP U-16]決勝で再び静学撃破!福岡の新鋭・飯塚が「強気の仕掛け」と「助け合える距離感」で“全国級”のU-16大会制す!

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初優勝を喜ぶ飯塚高

[9.16 NB CHAMPIONSHIP U-16決勝 飯塚高 2-0 静岡学園高 時之栖うさぎ島G]

 福岡の新鋭が“全国級”のU-16大会で頂点に――。高校1年生世代の強豪32校が優勝を争った「newbalance CHAMPIONSHIP U-16/2019」(静岡・時之栖スポーツセンター)は16日に決勝戦を行った。予選大会から勝ち上がってきた飯塚高(福岡)と名門・静岡学園高(静岡)との戦いとなった一戦は2-0で飯塚が勝ち、初優勝。決勝で2得点をマークしたFW高尾流星が大会MVPに選出されている。

 青森山田高(青森)や尚志高(福島)、市立船橋高(千葉)、東福岡高(福岡)というプレミアリーグ勢や大会2連覇中だった昌平高(埼玉)、前橋育英高(群馬)、桐光学園高(神奈川)などの名門校も出場している「newbalance CHAMPIONSHIP U-16」で、予選大会から勝ち上がってきたチームの優勝は初。それもインターハイ、選手権への出場歴の無い飯塚が、快挙を成し遂げた。

 予選リーグで逆転勝ちした静岡学園に再び勝利し、「飯塚」の名を全国に広めることに成功した選手たちは大興奮。MF長崎偉大は「青森山田とか強豪チームが多い中、(周りは)『飯塚は聞いたこと無い』みたいな感じになっていた。ここで優勝したら全国に広まるから、優勝して飯塚が強いと証明したかった」と語り、高尾も「めちゃくちゃ嬉しいですし、村越凱光君(3年、松本内定)がプロに行くんですけれども、もっと飯塚の名前をみんなに知らせてプロサッカー選手になりたいです」と優勝を喜んでいた。

 準決勝でRookie League関東王者の前橋育英を破って勝ち上がってきた飯塚は4-4-2システム。GKは別所利樹で4バックは右SB築田匡、CB岡本昴大、CB菊本遼紫、左SB中川知哉。中盤は長崎と森園颯月のダブルボランチで右MF池田光希、左MF吉田龍介。2トップは村越琉威と高尾がコンビを組んだ。村越は松本内定の飯塚FW村越凱光(3年)を兄に持つ注目選手。岡本や吉田、高尾もAチームでプレーする選手たちだ。

 一方の静岡学園は4-5-1システム。GKは古舘幸真で右SB栗山諒、CB三宅優翔、CB伊東進之輔、左SB清水和馬。中盤は小泉龍之介玄理吾のダブルボランチで、右MF長澤康汰、左MF中屋怜歩。前線はややシャドー気味にプレーした松永颯汰とFW松村拓実がコンビを組んだ。清水はAチームでレギュラーを張る注目選手。松永もAチームでプレーする期待の選手で、松村は同校3年のU-18日本代表FW松村優太を兄に持つ1年生アタッカーだ。

 前半は静岡学園が個々の技術の高さを示す。まずは5分、松永の展開から、右サイドの長澤を追い越してPAに潜り込んだ栗山がループシュート。12分には清水のスルーパスから中屋がフィニッシュに持ち込んだ。後方からゆっくりとボールを繋いで攻める静岡学園は、PA近くまで持ち込むと長澤や松村がドリブル突破にチャレンジ。清水の判断の速い動きなども合わせて主導権を握る形で攻め続けた。

 準決勝から中1時間ほどで開催された決勝。飯塚は序盤、運動量が上がらず、ボールを握られる展開となったが、島田一真コーチが「決勝トーナメントに入ってから言っているテーマは同じで、『強気に仕掛ける』『強気に押す』ということと、同時に『助け合える距離感』。攻撃があって、失いかけた時にはファーストディフェンダーが入っているような『助け合える距離』にいること。そのために走らないといけない。できなければ圧倒的にやられる」と語ったように、徐々に自分たちのやるべき「強気の仕掛け」と「助け合える距離感」を表現していく。

 各選手が“味方を助ける”ポジション取りを徹底してボールを奪い返す回数を増やすと、長崎や高尾、村越が強気の仕掛け。押し込まれる展開の中で決定的なシーンを作ることはできなかったが、それでも幾度か狭い局面で繋ぐ巧さと鋭いドリブルを発揮し、強豪と攻め合っていた。

 静岡学園は後半開始から準決勝のヒーローで、すでにプリンスリーグ東海デビューを果たしているGK 生嶋健太郎とMF鈴木大和、MF古川陽介、FW菊池柊哉を同時投入。さらにギアを上げて1点をもぎ取ろうとする。

 だが、後半により勢いを増したのは風上に立った飯塚の方だった。4分に右サイドを突いた高尾がゴールを狙うと、DFに当たったボールがポストを直撃。そして池田の仕掛けなどからゴールに迫り、先制点を奪った。

 9分、別所がPAから蹴ったボールを村越がゴール方向へ流すと、上手くDFの背中の方向にコントロールした高尾がクリアしようとしたDFよりも一瞬速くシュートを撃ち込んで先制点。青のユニフォームの選手たちが喜びを爆発させた。

 16分、飯塚は岡村拓海と中山隼を同時投入し、静岡学園はSB野村海翔を入れて清水を前に押し出す。静岡学園はその清水や松永を起点にチャンスを作るが、飯塚は球際での潰しが利いていた岡本をはじめ、築田、菊本、中川の4バックや森園、GK別所が的確な守備対応。状況に応じたクリア、タックルで得点を許さない。

 逆に高木光、中隈聖大、松尾唯希を投入した飯塚は、長崎や吉田の突破などでチャンスを作り返す。そして25分、高尾が素晴らしいミドルシュートをゴール左隅に突き刺して2-0。その後も築田がクロスバー直撃のFKを放って見せるなど、最後まで強気の戦いと献身的な走りを続けた飯塚が頂点に立った。

“全国”舞台でも堂々の戦いを見せて優勝。飯塚の島田コーチは「(オリエントやNEOをはじめとした)ジュニアユース年代のおかげですね。(選手たちの)個性がある。それを消さずに育てて送ってくれている」と感謝した。

 池田は「最初は(優勝チームに)なれるか分からなかったけれど、優勝という結果で終われて良かったです。自信になりました。(選手権で全国に出るために、福岡県内のライバルを)頑張って倒します」と語り、長崎は「まだここで満足したらいけないと思う。自分がトップチームに上がって通用するように。そして、自分たちの代になった時は全国優勝まで上り詰められるように頑張りたい」と言い切った。“飯塚旋風”を次はインターハイや選手権で――。“全国でもやれる”という自信と課題も持って福岡へ戻り、新王者はさらなる成長を目指す。

(取材・文 吉田太郎)

【特設ページ】newbalance CHAMPIONSHIP U-16/2019

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