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「強い桐蔭を取り戻す」。神奈川2回戦の好カードは桐蔭学園が座間の猛追振り切り、3-2勝利!

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前半8分、MF立石宗悟の先制ゴールを喜ぶ桐蔭学園高イレブン

[9.21 選手権神奈川県予選2回戦 桐蔭学園高 3-2 座間高 桐蔭学園G]

 自信を持って戦い、激戦区を勝ち上がる。21日、第98回全国高校サッカー選手権神奈川県2次予選2回戦で、2年ぶり10回目の全国を目指す桐蔭学園高と公立の強豪・座間高が激突。桐蔭学園が3-2で勝ち、3回戦(対東海大相模高)進出を決めた。

 試合は桐蔭学園がファーストチャンスをモノにする。前半8分、左サイドを縦に突いたMF新橋尚悟(3年)のマイナスクロスに飛び込んだMF立石宗悟(1年)が先制ヘッド。ピッチで強い気持ちを表現する1年生アタッカーの気迫のゴールで、桐蔭学園が先手を取った。

 座間は高いディフェンスラインを設定。正確に蹴る力を持つ選手が揃う桐蔭学園DFに背後を狙われる展開となったが、怯むことなく高い位置からのプレッシングを続ける。そして、幾度か相手のミスを誘い、MF勝田泰智(3年)らが決定的なシュートを撃ち込んだ。

 だが、桐蔭学園は後方からのビルドアップと縦パスを主とした攻撃を継続。そして、スルーパスを狙うMF島田弥的(3年)や両足からのフィード優れるCB西村俊祐(3年)が、注目エースFW白輪地敬大(3年)をはじめとしたアタッカー陣の抜け出すタイミングと合わせて配球し、チャンスの数を増やした。

 26分、桐蔭学園がセットプレーで2点目を奪う。右CKからMF菱川天風(3年)がグラウンダーのキックを選択。これを白輪地が足裏でそらすと、中央でフリーとなった西村が一度止められながらも右足シュートをゴールにねじ込み、2-0とした。

 座間も10番MF箕輪実潤(3年)やMF永井颯真(2年)を中心にボールを保持する時間を増やし、あわやのシーンも作ったが、桐蔭学園は守備範囲広く守っていた西村やCB青木祐人(1年)が的確なカバーリングで決定打を打たせない。

 昨年から母校の監督を務める桐蔭学園・八城修監督は「個性の見える、顔のあるプレーのできる選手になって欲しい」という。攻守に特長的な選手が多い桐蔭学園は後半も、左サイドをスプリントするSB武田拓磨(2年)が大きな展開で抜け出すなど、選手の特長を活かした攻撃でチャンスを作り出す。そして21分、白輪地が巧みにDFを剥がして抜け出し、右足アウトサイドでゴール。3-0とした。

 だが、座間も諦めない。その猛追は見事だった。31分、ショートパスを繋ぐと、永井のスルーパスから交代出場のFW佐藤星南(2年)が右足シュート。このこぼれを勝田が押し込むと、さらに38分、縦パスのこぼれに反応した佐藤がミドルレンジから右足ダイレクトボレーで決めて1点差とする。

 湧き上がる座間スタンドとベンチ。勢いに乗った座間は39分、佐藤の右クロスに勝田が飛び込み、40分にもMF大塚仁斗(3年)の左クロスを勝田が頭で合わせる。だが、いずれもゴールを破ることができず。終盤バタバタしたところを見せながらも逃げ切った桐蔭学園が、3回戦へ駒を進めた。

「ウチの選手はもっと自信を持ってやった方が良い」。桐蔭学園の八城監督は一発勝負のトーナメントで勝利したことを評価した一方、まだまだ余力のありそうな選手たちにより自信を持って戦うことを求めていた。今年は関東大会予選、インターハイ予選ともに8強を前に敗退。西村は「弱気になってしまうところがあるので、もっと自分たちの力を信じてやることが大事だと思います」と語る。神奈川県1部リーグではインターハイ出場校の東海大相模を破るなど優勝争いに食い込んでいるだけに、激戦区に入った選手権予選で勝ち上がりながら自信をつけていく考えだ。

 もちろん、選手たちは「桐蔭復活」への思いを強く持っている。白輪地は「タレントは揃っているけれど、その中で大会で結果を残せないと全国区にはなれない。『強い桐蔭』を取り戻すためにも、(経験面など)去年から積み上げてきたものを第一に考えてやっていきたい」と誓った。

 チーム再建を託されている八城監督は「ここ(桐蔭学園)にいるからこそ、全員がプロになって欲しいし、大学から声のかかるように(個人、集団としても)なって欲しい」という。力のある選手が多い印象のチームは、上級生、下級生関係なく貪欲に個々の力を伸ばして「強い桐蔭」を築き上げていくこと。まだまだ意識の部分も含めてこれからだが、現在はとても勝利に飢えているだけに、貪欲に積み重ねながら高い目標を実現させるチーム、個人となって結果を残す。

(取材・文 吉田太郎)
●【特設】高校選手権2019

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