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延長戦の2点リード、PK戦でも追いつかれる苦闘乗り越えた!平塚学園が夏の経験を糧に神奈川3回戦進出!

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PK戦を制した平塚学園高の選手たちが歓喜のダッシュ

[9.21 選手権神奈川県予選2回戦 星槎国際高湘南 2-2(PK6-7)平塚学園高 桐蔭学園G]

 平塚学園がPK戦を制して3回戦へ――。21日、第98回全国高校サッカー選手権神奈川県2次予選2回戦で星槎国際高湘南平塚学園高が激突。2-2で突入したPK戦の末、平塚学園が7-6で勝ち、3回戦進出を果たした。平塚学園は11月2日の3回戦で横浜創学館高と戦う。

 平塚学園が追いつかれても乗り越える逞しさを見せた。星槎国際はMF小川修叶(3年)とMF重松歩夢(3年)を起点として丁寧に攻撃を組み立てる。そして、右サイドの俊足SB内田碧空(3年)のオーバーラップも活用。だが、平塚学園は相手のストロングポイントを対人強い左SB飯塚洸貴(3年)とMF富田卓海(3年)の2人で対応してその強みを半減させる。

 そして、平塚学園はMF長塚十太主将(3年)らの展開から素早くサイドへボールをつけて攻め返す。そこから、突破力に秀でたMF及川秀虎(3年)の仕掛けや右の大澤龍馬(3年)と左の飯塚のクロスでゴール前のシーンを作り出した。

 平塚学園は後半、FW手塚頼(3年)の右足FKがゴールを捉え、飯塚のバイシクルシュートがゴールを襲う。だが、星槎国際は188cmGK鳴川初太(3年)の好守などで先制点を許さない。

 逆に星槎国際は後半7分、セットプレーのこぼれ球に反応したMF佐々木隆臣(3年)が抜け出しかけるが、平塚学園は大澤がスーパークリア。また、FW並木利雄(3年)がパワフルなシュートを打ち込むなどゴールに迫ったが、平塚学園はCB柏木柊威(3年)やCB伊藤拓夢(3年)らDF陣が際のところで粘り強く身体を張って無失点を継続する。

 ともに決定打が出ないまま、前後半の80分間を終了。延長戦に突入する。その前半3分、平塚学園は交代出場のMF高橋幸太郎(3年)のスルーパスに富田が反応。このシュートは止められたが、こぼれ球をMF梶川太陽(3年)が右足で決めてスコアを動かす。

 さらに延長後半開始直後、平塚学園は及川が右コーナー方向へ流れながらボールをキープ。こぼれ球を大澤がダイレクトでゴール前に上げると、富田がダイビングヘッドで決めて2-0とした。

 延長戦の2ゴールで決着がついたかと思われたが、星槎国際が驚異の粘りを見せる。6分、この日正確なプレースキックを見せていた小川の右FKのこぼれをCB齋藤誠也(3年)が豪快に決めて1点差。パワープレーで前線に上がっていた齋藤は8分に再び歓喜をもたらした。FW大音右京(3年)がドリブルで仕掛け、それが右中間にこぼれると素早く反応して右足ミドル。これがゴール右上に突き刺さり、2-2となった。

 土壇場から齋藤の2発で同点に追いついた星槎国際がPK戦に持ち込んだ。対して平塚学園は元湘南の井原康秀監督が「インターハイもラスト1プレーで失点して負けている。インターハイでこういう思いをしているけれど、ゲームを終える力をつけなければいけない」と説明していたが、終了直前の失点で三浦学苑高に敗れたインターハイ予選の悪夢が頭をよぎるような展開となった。

 PK戦では互いに6人目まで成功。先攻・星槎国際の7人目を平塚学園GK鈴木健太(3年)が止めたが、直後に星槎国際GK鳴川が止め返す。平塚学園は勝利を確信しながらも、再び追いつかれた。それでも飯塚は「みんな最後まで諦めないというのを三浦の時に学んだ。最後のPKも『笑おう』『笑おう』と言っていた」。ここで切れなかった平塚学園はGK鈴木が星槎国際8人目のキックを止めてガッツポーズ。最後は富田が右足で決めて、今度こそ決着をつけた。

 例年、相手の間を取りながらパスを繋いで勝負する平塚学園だが、加えて今年はフィジカル面の強みがある。井原監督も「(目指すサッカーは変えないが、)彼らのフィジカルの強さを上手く引き出すことを考えています」。平日火曜日には平塚から大磯まで砂浜を片道10kmランニングし、サーキットメニューを行うなどその強みを強化してきた。この日は183cm、80kgの大型FW渡邊波季(3年)を欠く中での一戦。戦い方含めて普段と違う試合となったが、それでも随所でフィジカル面の強さを発揮し、逆境を乗り越えて次に繋いだ。

 インターハイ予選の経験は選手たちの糧になっている。それは相手の決定機でも最後の一歩を出したり、苦しい展開の試合を乗り越える力に。長塚は「自分たちは決して上手いチームじゃないので、きょうみたいな試合が続くと思うけれども、粘って自分たちらしく戦いたい」と誓う。再び勝つことの難しさを実感した選手たちはこの経験もプラスにして、混戦の神奈川予選で勝ち上がる。

(取材・文 吉田太郎)
●【特設】高校選手権2019

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