beacon

[MOM643]関西福祉大GK佐藤由維斗(4年)_創部初の1部挑戦…仲間に伝わる主将の姿勢

このエントリーをはてなブックマークに追加

関西福祉大GK佐藤由維斗

[大学サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[9.29 第97回関西学生L後期第3節 関西学院大0-1関西福祉大 きしろスタジアム]

 リーグ一の得点力を誇る関西学院大を無失点に抑えての後期初白星。好セーブで幾たびもピンチを救ったのが関西福祉大GK佐藤由維斗(4年=久御山高)だ。

 創部初の1部リーグに挑む関西福祉大の今シーズン、前半戦は結果を出せずに苦しんだ。7連敗で前期リーグを終了。関西選手権も大量失点を喫して敗退。夏の間、1部で勝つために練習試合で様々なチャレンジに取り組み、チーム内の競争も激しくなった。しかし、内容は悪くないにも関わらず、後期も開幕2連敗。自信を持てずにいた中で関学大戦を迎えた。

「守備をベースにして、奪ったら素早く攻撃に転じるという狙い通りに左からのクロスに対して中央に入ってきたMF松山匠(2年=北九州U-18)が決めた、素晴らしい得点」と中田洋平監督も称賛した形で先制すると、ゴールをこじ開けにくる関学大に対し、全員が集中力を保ち、身体を張って粘り強く守り切った。押し込まれる時間帯も全員の『勝ちたい』という思いを、最後尾から佐藤がプレーと声で支えた。「流れを感じながら、『ここ』という場面で締めるコーチングをすることができ、後ろの安定をもたらす存在感がある」と中田監督も絶対の信頼を置く主将だ。

 佐藤自身は、「前節のびわこ戦は自分のミスからやられてしまった。今日も前半はキックミスが多かったし、得点直後にDFとの連携を狙われてピンチになったりと、みんなに守ってもらった」と反省点をあげるが、後半は長所とする1対1での強さを見せ、関学大のシュートをことごとく跳ね返した。

 久御山高校時代はインターハイにも出場した実力の持ち主。関西学生リーグ1部チームへも練習参加をしたが、当時3部に所属していた関福大を進路に選択したのは、「環境面も整っていたし、人数も少なかったので試合に出られるチャンスも大きいと思ったから」だ。その読みどおりに入学直後から試合出場を果たすと、1部昇格にも大きく貢献する活躍を見せた。「高校のときは多少雑なプレーでもやれていたけれど、大学ではちっちゃいぶん、どう守るかというのをより考えなあかんようになった。今年から相手の攻撃レベルも上がり、そこでどうするかというのを試合の中でやれている」と、実戦経験を積み重ねたことが進歩につながったと話す。

 1部リーグでタフなゲームを重ねる中で、感じているのは自らの成長だけではない。「スタメンに後輩が多いんですけど、そいつらが『自分たちがチームを引っ張る』という意識を自覚とともに持ちだして、精神的な部分ですごく成長した。うまくいかへんときにイライラしてしまっていたのが、状況を受け止めながらどうするのかを考えられるようになってきた」と、主将として後輩たちの進化を頼もしく見つめている。それは、中田監督が「熱い闘将という感じではないが、声をかけながら自分の言動でチームを引っ張る。絶対に信頼を裏切らない取り組みが、部員のみんなにも伝わっている」と評価する主将・佐藤の姿勢がチームメートへと浸透していったからに他ならないだろう。

 1部残留のためにはまだまだシビアな闘いが続く。「今日みたいにハードワークは絶対必要。相手チームより走って、切り替える判断のスピードを上げて、粘り強く闘いながら、相手の嫌なことを続けて勝ち点を取り続ける」と、強い気持ちでチームを率いる主将が、逞しさを増しつつある仲間とともに、一戦一戦を全力で闘いぬく。

(取材・文 蟹江恭代)
●第97回関西学生リーグ特集

TOP