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東京の高体連唯一のプリンス関東勢・帝京は6発快勝も、反省点多い初戦に:東京A

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後半アディショナルタイム、帝京高は交代出場MF市川颯馬がGKをかわして6点目のゴール

[10.19 選手権東京都Aブロック予選2回戦 青山高 0-6 帝京高 駒沢2]

 帝京、反省点の多い6-0勝利――。19日、第98回全国高校サッカー選手権東京都Aブロック予選2回戦で帝京高と青山高が対戦。帝京が6-0で快勝した。帝京は10月26日の準々決勝で多摩大目黒高と戦う。

 帝京の日比威監督は試合後、「ファーストタッチ、パスがズレている」「動きが無かった」「みんな、雑なことをやっていた」など厳しい言葉を連発していた。

 今年は14年ぶりに参戦しているプリンスリーグ関東で5勝5分5敗の5位。タレントの多かった昨年から主力のほとんどが卒業する中で、前橋育英高に連勝したり、横浜FCユースと3-3の打ち合いを演じるなど関東の強敵と渡り合っている。

 だが、「強く逞しくやろうという子が多かった」(日比監督)という昨年までと比べ、今年は隙を見せてしまうことがしばしば。この日は快勝したものの、帝京らしい体勢の良い選手を活用したグループでの崩しや前の選手を追い越す動きが少なく、ミスも目立った。東京都の高体連で唯一プリンスリーグ関東に在籍しているとは言え、09年度以来選手権から遠ざかっている自分たちは挑戦者。だからこそ、日比監督は「ひたむきにやらなければいけない」と選手たちに求めていた。

 最初にビッグチャンスを作ったのは青山の方だった。前半5分、FW小川豪(2年)のスルーパスで帝京DFの背後を取ったFW山田渉斗(2年)が決定機を迎えたが、これは帝京GK冨田篤弘主将(3年)がストップ。すると帝京は5分、MF深澤大輝(3年)の右クロスがファーサイドへ届き、これをFW佐藤悠生(3年)が右足で決める。

 青山は先発唯一の3年生であるCB鈴木司恩やCB浜崎史哉(2年)が気迫の守備。好プレーが出るたびにベンチ、スタンドが盛り上がっていた。だが、帝京は19分、右サイドを抜け出したMF中瀬拓夢(3年)の折り返しからFW小島匠瑛(3年)が左足で決めて2-0。さらに22分にはMF石川航大(3年)の縦パスを受けた中瀬が右足シュートをゴール左隅にねじ込む。

 帝京はその後も中盤でのハードワークでボールに絡み続けた深澤や、精度の高いクロスや折り返しのパスを連発していた左SB石井隼太(3年)を中心にチャンスを量産。40分には深澤のスルーパスからFW高橋岳(3年)が決め、後半5分には小島のラストパスから交代出場のMF須藤晃志(3年)が追加点を奪った。

 帝京はさらに追加点を狙ったが、青山は30分頃に2回、3回とゴールライン際でシュートをブロックするなど点差が開いても必死に戦い続ける。帝京はCB柳大弥(3年)が守備を引き締めて無失点を継続し、アディショナルタイムに右サイドの石川のスルーパスからMF市川颯馬(2年)が決めたものの、反省の初戦となった。

 DFリーダーの柳は「口では『集中しよう』みたいに言うんですけれども、一人ひとり謎の余裕があった」と指摘し、「今日みたいな形で試合を進めて行くと上には行けないと思う。今回、質の低かった部分は改善して次の試合でもっともっと活かせていけたらいい」と力を込めた。

 また、石井は「合わないところがあったりした。試合中やハーフタイムに自分たちで声を掛け合って改善していきたい」と課題を改善することを誓っていた。今年はJユース勢や街クラブ、高体連の強豪とのリーグ戦で選手層が向上。昨年のような際立った個はいないかもしれないが、20人ほどの選手のうち誰が出ても力を発揮できるようなチームになっている。底力はあるだけに、今回の予選は波をなくし、一戦必勝。過去4年のうち、3度準優勝と悔しい思いをしている帝京が、この日の試合から反省し、決勝まで良いパフォーマンスを続けて今年こそ頂点に立つ。

(取材・文 吉田太郎)
●【特設】高校選手権2019

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