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最注目エース不在の中でのチーム作り、全国制覇後のエネルギー…難しい1年過ごした桐光学園は神奈川決勝で涙

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インターハイで同校にとって初の日本一を勝ち取った桐光学園高だが、選手権日本一の夢は叶わず

[11.30 選手権神奈川県予選決勝 桐光学園高 0-1 日大藤沢高 ニッパ球]

 夏冬連続日本一、選手権初優勝を目指した桐光学園高は、神奈川県予選決勝で姿を消した。前半はMF中村洸太(3年)やCB安久レオナルド高貴(3年)、CB奈良坂巧(2年)を中心に相手をサイドに追い込む守りでボールを奪い取り、カウンターからU-20日本代表FW西川潤(3年、C大阪内定)のミドルシュートやヘディングシュートでゴールへ。ポゼッションする上手さも示して試合の主導権を握っていた。

 押し込む中でピンチもあったが、前半終了間際に抜け出してきた日大藤沢高MFをGK北村公平(2年)がストップ。そして0-0で迎えた後半、先に決定機を作ったのは桐光学園だった。7分、FWラナイメアー祈安(3年)とのコンビネーションでMF神田洸樹(3年)が右サイドを抜け出し、そのクロスからファーサイドのMF所新太郎(3年)が狙うが、コースを突いた一撃はGKにセーブされてしまう。

 すると、直後にサイドを攻略されて失点。北村のビッグセーブで追加点を阻止した桐光学園は神田のラストパスから西川が右足シュートを狙うなど反撃したが、逆に前掛かりになった分、ボールの奪い返しに手こずるなど苦しい展開となってしまう。

 徐々に残り時間が短くなる中、鈴木勝大監督から「ギアを上げろ」という声が飛んでいたが、なかなか攻撃のギアが上がらず。西川は「(ギアを上げることが)できなかったことが全てだったと思います」。最後まで日大藤沢の堅守をこじ開けることができないまま、敗戦が決まった。

 西川は「前半はリズムを作って攻撃できたと自分の中でも感じていました。失点する前辺りから上手く流れを持っていかれて、そこから自分たちの良さを出せなくなったのでそれは本当に悔しい思いしかないですね」とコメント。今年の最注目選手を擁する夏の王者は涙で会場を後にすることになった。

 今年の桐光学園は絶対的なエースである西川が不在となる期間が非常に多かった。加入内定していたC大阪への練習参加や公式戦出場、U-20日本代表、U-17日本代表の活動で度々チームを空けてしまうことに。関東大会予選や県1部リーグのように、西川抜きで臨んだ公式戦もある。

 西川がチームにもたらす経験値が大きいことは確か。それでも、鈴木監督は西川がいる時といない時と両方のチーム作りを強いられたシーズンへの難しさを実感していた。西川がU-17ワールドカップとその後の休養のために初戦10日前まで不在。加えて主軸の中村や奈良坂、安久が怪我で離脱するなど、桐光学園は万全の準備で選手権予選に臨んだ訳ではなかったはずだ。
 
 インターハイ優勝後、より成長する意欲、エネルギーを持って冬へ向かうことの難しさも知った。この経験は必ず糧に。1年時からゴールを守る北村や奈良坂、右SB 前川壮太(2年)、MF 岩根裕哉(1年)ら経験した下級生たちが来年、再び選手権日本一に挑戦する。


(取材・文 吉田太郎)
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