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元浦和ユース10番が超絶ドリブル弾!! 新潟医療福祉大MFシマブク・カズヨシ「違うフィールドだけど…」

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新潟医療福祉大MFシマブク・カズヨシ

[12.11 インカレ1回戦 鹿屋体育大3-4新潟医療福祉大 川口]

 周囲には相手選手が複数いた。しかし、迷いはなかった。得意のドリブルで“白い壁”に突入した新潟医療福祉大MFシマブク・カズヨシ(2年=浦和ユース)は、スピードを緩めることなく一気に密集地帯を駆け抜けた。

 立ち上がりから鹿屋体育大にペースを握られた新潟医療福祉大は、前半17分までに3点のビハインドを背負ってしまう。しかし、「逆に吹っ切れた」というシマブクが攻撃をけん引。同30分には「最初に周りを見てFWの位置を確認して目も合っていた」とFW小森飛絢(1年=富山一高)に絶妙なスルーパスを供給し、反撃の狼煙を上げる得点をアシスト。そして、後半13分にMF塚田裕介(2年=横浜FMユース)の直接FK弾で1点差に詰め寄ると、同20分にシマブクが魅せた。

 PA外でボールを受けると、「ドリブルが武器なので仕掛けるイメージをしていた」。目の前には白いユニフォームを着る複数の鹿屋体育大の選手が立ちはだかっていたが、「ちょっとだけ隙間が見えた」とわずかなスペースを一気の加速で駆け抜ける。気付けば全員を置き去りにして、PA内でフリーに。「振り抜くしかない」と左足で放ったシュートはファーサイドに突き刺さり、「自分の中で一番のゴールかも。ベストゴール」という同点ゴールが生まれた。勢いに乗ったチームは同41分にFW矢村健(4年=市立船橋高)が勝ち越しゴールを奪い、4-3の大逆転勝利を収めた。

 南米・ペルーにルーツを持つアタッカーは、中学時代も高校時代も浦和の育成組織で10番を背負った。しかし、同期のDF橋岡大樹やDF荻原拓也らがトップチームに昇格する中、自身のトップチーム昇格は叶わなかった。「あのときは本当に悔しかった」と当時を振り返りつつも、すぐさま視線を前へと向けたようだ。

「大学を経由して戻ろうという気持ちが強かった。大学に進学して一からスタートを切ったし、こういう大会で活躍できれば色々な人に見てもらえると思った」

 鹿屋体育大戦前日には、今もline等で連絡を取り合う橋岡がA代表デビューを飾り、大きな刺激を受けた。「うらやましかったし、めっちゃ悔しかった」と先を走る同期との差を感じながらも、「違うフィールドだけど、自分も活躍しているということが届けばいいなと思っています」と、自身が置かれている立場で全力を尽くしている。

「同期の活躍は刺激になる。もっと、やらないとという気持ちになるし、『待ってろ』『すぐに行くからな』という気持ちでやっている。浦和ではいろんな人に良くしてもらったし、思い出がたくさんあるので、浦和に戻って活躍して恩返しできたらいいと思っています」。下部組織で背番号10を背負った、特別なクラブ。浦和に戻ることを一つの目標に、今は新潟医療福祉大のユニフォームを身にまとってピッチ上で躍動する。

(取材・文 折戸岳彦)
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