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前半3発の草津東が2回戦へ!! 後半苦しむも“ホーム”東久留米から逃げ切る

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2回戦へと駒を進めた草津東高(写真協力=高校サッカー年鑑)

[12.31 選手権1回戦 東久留米総合高 2-4 草津東高 味フィ西]

 第98回全国高校サッカー選手権1回戦が各地で行われ、味の素フィールド西が丘では8年ぶり3回目の出場となる東久留米総合高(東京A)と3年連続11回目の出場となる草津東高(滋賀)が対戦。前半だけで3点のリードを奪った草津東が4-2の勝利を収めて初戦を突破。2回戦へと駒を進め、1月2日の2回戦で筑陽学園高(福岡)と対戦する。

 試合開始早々の前半4分に草津東が試合を動かす。ゴール中央でボールを受けたFW渡邉颯太(3年)が鋭いターンで前を向くと、右足シュートでネットを揺らしてスコアを1-0とした。さらに、このプレーの流れの中で東久留米総合をアクシデントが襲っていた。主将を務めるDF下田将太郎(3年)が右足首を負傷。同8分にはプレー続行不可能と判断されて、DF鈴木亜藍(3年)との交代を余儀なくされた。東京都予選全4試合を1-0で制してきた東久留米総合だが、全国の舞台で試合開始早々に失点。さらにキャプテンを失ったことで、「僕も混乱した」(加藤悠監督)というチームの歯車は狂っていまう。

 先制した草津東は勢いに乗った。ボランチの位置に入るMF小酒井新大(3年)が巧みなボールキープから的確に散らしてリズムを生み出し、左サイドからはMF川崎寛太(3年)が鋭い突破で好機を創出。前半19分にはMF夏川大和(3年)が蹴り出したCKの流れから相手のオウンゴールで2点目が生まれ、同31分にはMF四元舜希(3年)の縦パスを受けた渡邉が再び鋭いターンから自身2点目を陥れる。立ち上がりからアグレッシブな姿勢を見せた草津東。チームを率いる牛場哲郎監督は、「過去2年、(初戦で)青森山田に負けていた。先制点を取りたいし、ゲームを支配したい気持ちがあったので最初から飛ばした。でも出来過ぎ。こんなことになるとは思っていなかった」と3点を奪った前半を振り返る。

 一方、前半のシュートをMF佐藤海翔(3年)の1本に抑え込まれた東久留米の加藤監督は、「(前半の)40分間で修正することは難しかった」と悔しさを滲ませる。しかし、「2つ取れば何かが起きる。2点でいい。最後はスタジアムの一体感が出て何か起きるぞ」と発破をかけて選手たちを送り出すと、後半は「頭も心も切り替えてくれた」と見違えるような姿をピッチ上で見せた。

 縦パスを受けた草津東の選手に対し、激しくプレッシャーをかけてボールを奪い取る。攻撃権を奪えば縦に速い攻撃でゴールに迫った。後半5分にFW松山翔哉(3年)が放ったシュートが好反応を見せたGK長澤輝(3年)に弾き出されるも、同13分にMF足立真(3年)、MF柳田晃陽(3年)が絡んだ鮮やかなパスワークから、最後は松山が右足で流し込んで1点を返す。さらに同24分には最終ラインのDF岩田蓮太(3年)が送ったロングフィードが相手守備のミスを誘うと、こぼれ球を柳田が蹴り込んで1点差に詰め寄った。

 東京A代表の東久留米総合にとって、西が丘は“ホーム”とも言える。加藤監督が「何かが起きる」と語っていたように、スタジアムは押せ押せムードに。それは、敵将も感じていた。「東久留米さんに良いプレーが出ると歓声が上がって、相手のホームスタジアムのようだった。点が入ると相手選手の動きも良くなって、本当に苦しかった」(牛場監督)。

 その後も東久留米総合に押し込まれる展開となったが、草津東が一瞬の隙を突いて勝負を決める。後半40分、MF鮫島拓巳が相手最終ライン裏にボールを送ると、走り込んだ小酒井が冷静に右足で流し込み、ダメ押しとなるゴールが生まれ、草津東が苦しみながらも4-2の勝利を収めた。

「後半はウチの運動量が落ち、守備の連係が崩れてしまった。交代選手を使って修正して、何とかしのげた」と安堵の表情を見せた牛場監督。「チームとしては、勝つチームを一年を通して作ってきた。ベスト8以上を目標に臨んでいる」との目標達成に向けて、最初の一歩を踏み出した。2日の2回戦・筑陽学園戦でも勝利を収めるため、「良い準備をしていきたい」とコンディションを整えて、次の一戦に臨む。

(取材・文 折戸岳彦)
●【特設】高校選手権2019

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