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[新人戦]「新人戦は絶対に獲りにいくつもり」。綾羽が延長戦で近江を下し、2年連続の決勝へ:滋賀

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決勝点をマークした綾羽高FW槇島明都

[1.19 第72回滋賀県県民大会準決勝 綾羽高 1-0 近江高 ビッグレイク]

 第72回滋賀県県民大会(新人戦)の準決勝が19日に行われ、綾羽高近江高が対戦。延長戦までもつれた一戦は、延長前半10分にFW槇島明都(1年)の決勝ゴールによって、綾羽が1-0で勝利した。綾羽は25日の決勝で、水口高と対戦する。

「能力的に決して高くない中で、よく準決勝まで来てくれた」と試合前に口にしていたのは、岸本幸二監督。“谷間の世代”と呼ばれる綾羽が下馬評を覆し、2年連続で新人戦決勝行きを手にした。

 今年の綾羽には強い・速いといった身体的特徴を持った選手がいないため、例年のような縦に速いパワフルな攻撃は不向きだ。そのため、ボールを保持できるMF服部蓮(2年)やMF川村洸大郎(1年)の持ち味を活かそうと、チームの定番である4バックではなく、3-5-2を採用。近江と激突した準決勝も、パスによる崩しを狙ったが、「慌てる場面が多くて自分たちのやりたいサッカーができなかった」(DF小西祐汰、2年)とロングボールが多く、攻撃のリズムが作れなかった。

 一方で、守備は立ち上がりから狙い通りの形を披露する。前線からコースを制限し、相手に縦パスを誘導。自陣にボールが入ったタイミングで、「強いチームは失点しない。身体のどこかにでも当てて攻撃を止める意識を全員が持っている。前の選手が頑張っているのに後ろの選手が適当にやるわけにいかない」と話す小西が鋭い出足を守備でインターセプトを繰り返した。

 前向きでの守備から素早く攻撃に移行すると、前半21分には右クロスをDF藤重優(2年)が頭で合わせたが、GKの正面。29分にも左を突破した藤重のパスから小林彪琉(2年)がシュートを放ったが、GKに阻まれた。後半1分にも、「(新)2年生だけど背番号10を貰ったので、自分がチームを引っ張るためにも点を取りたい」と意気込むFW渡辺夢叶(1年)が右サイドを抜け出し、クロスを入れるも味方と合わずに無得点が続いた。

 対する近江は、「相手が勢いよく来るのは分かっていたのに、跳ね返す力がなく苦しんだ」(MF下村哲平、2年)。後方でボールを動かしても、前線がボールを上手く引き出せず苦しんだ前半から立て直し、後半はチーム全体で高い位置でのプレーを心掛ける。そして、下村やMF森雄大(2年)が相手ゴール前までボールを運ぶ回数が増えたが、決定機まで持ち込めず両者無得点で前後半を終えた。

 迎えた延長戦も、スコアレスのまま試合が進んだが、延長前半10分に綾羽が自陣でFKを獲得。服部がゴール前に入れたボールをDF西村優我(2年)が頭で落とすと、最後は槇島がゴールへ押し込んだ。延長後半は2トップを入れ替え、前線からの守備を再徹底した綾羽がリードを守りきり、決勝進出を決めた。試合後、岸本監督は「昨年は(インターハイ予選や選手権予選で)ベスト8で負けているので、こうやって緊張感のあるゲームを経験させて貰えるのはプラスになる。間違いなく今大会を通じて成長させてもらっているので、相手には感謝しなければいけない」と話した。

 昨年の決勝は雪で中止となり、近江との両校優勝で終わったため、今年こそ単独優勝を掴むのが目標だ。「自分たちの目標は滋賀県3冠。一つめの新人戦は絶対に獲りに行くつもりで戦っている。全員が次のことを考えず、目の前の試合に勝つことだけを考えている」と意気込む小西を中心に、準決勝まで同じ通り一戦必勝の精神を貫き、歓喜を掴み取る。

(取材・文 森田将義)

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